黒尾 side
夜久「あ"ーーーーーー!!黒尾ーー!!テメェどこ行ってたんだよ!?」
皆でバーベキューをしていた体育館横の中庭へ戻ると、速攻で夜久に見つかった
腕を掴まれて、そのまま体育館裏に連れて来られた
夜久「お前な〜…あの、美人の…幼馴染……?と一緒にどこ行ってたんだよ!?
澤村に「校門まで行ったけど、誰もいなかった」って言われて……お前は戻って来てねぇし……澤村を呼びに来ただけの俺がヒヤヒヤしたじゃねぇか!
しかもバーベキューの片付け始まってもまーだお前戻って来ねぇしサ!
他所は皆、主将が仕切って片付け始めてんのに音駒だけ主将がサボってるなんて……
後輩に示しがつかないだけじゃなくて
他校に申し訳が立たねぇんだよ!!」
仁王立ちした夜久に怒られる
確かに……何も言わずに居なくなった挙げ句、何だかんだと結構な時間外に出ていた
黒尾「あー…確かに、勝手しすぎたわ……悪ぃ」
頭を掻きながら、夜久に詫びる
夜久「まぁ……分かればいいんだけどな。
だからな、お前は……肉を食い過ぎて、生焼けの肉も食っちまって、腹を壊してピーピーになって便所から出られない状況!!
って事になってるからな!
「(ゲッ!)」って顔すんじゃねぇ!自業自得だろ?!
寧ろ、俺のフォローに感謝してほしいね!」
そう言い捨てて夜久は立ち去った
黒尾「(あ〜…はい……毎度、毎度
夜っ久んのフォローには感謝してます……)」
・
・
澤村「おー!黒尾!」
体育館を覗くと今度は澤村に声を掛けられた
さっきまで一緒にいたあなたの顔が浮かぶ
澤村「あなたが来てたんだろ?黒尾が呼んでくれたんだよな?」
黒尾「あ?あぁ…」
澤村「俺が行った時には、もうあなたはいなくてさ…
『勉強の息抜きに、俺の顔を見に来た』
『でも合宿の邪魔しちゃ悪いから、やっぱり帰る』
ってメールが来てた。まさか、こんな所まで会いに来るなんてな……ハハハ………」
黒尾「(何だよ…暖気に惚気かよ……)」
おばさんの話をしながら
細い肩を震わせていたあなたの姿が脳裏に蘇る
______と同時に、俺の胸の中に黒い染みが落ちた
それは瞬く間に広がる
______澤村は何も悪くない
分かってる!頭では分かっている。それなのに…
何も知らずに暖気に笑っている澤村に対してイラッとして、つい言ってしまった
黒尾「あぁ……「帰る」っつーから、駅まで送って行ったわ
まぁ、俺も久々にあなたに会ってテンション上がったしな。アイツもまんざらでもねぇ感じだったし。お陰で楽しかったわ」
澤村「えっ!?あぁ、そうか……
あ〜…何か、すまなかったな……」
明らかに澤村の顔付きが変わった事を視界の片隅で捉える
黒尾「別に……」
ボソッと呟く様に返事をして、その場を立ち去る
木兎「お"ーーーーーー!!黒尾!
腹の調子はもう良いのか?ヘイヘイヘーイ!」
体育館を出ようとしたところで、今度は木兎に捕まった。その後ろに赤葦もいる
木兎なりに慰めようとしているのか…
いや、ただ単に揶揄いたいんだろう。木兎がニヤニヤしながら俺の肩に腕を回してくる
黒尾「うっせーぞ!木兎!!もう何ともねぇよ!」
赤葦「木兎さん…
今、黒尾さんは弱っているんです。静かにしてあげて下さい」
木兎「おー、そうだな!赤葦!!
次は食い過ぎに気ぃ付けろよ!黒尾!!
っつーか"弱ってる黒尾"って…何か貴重だな!」
黒尾「マジ うっせーぞ!木兎!!」
肩に乗せられたその腕を無理やり引き剥がす
木兎「アハハハ!じゃーな〜 黒尾!!」
相変わらずのテンションで片手を挙げ、赤葦と共に体育館を出て行った
騒ぐ俺達の姿を背後からじっと見ていた澤村の視線に
俺は気付かないフリをした____________
澤村 side
______「まんざらでもねぇ感じだった」
黒尾の言葉が何故だか妙に引っ掛かった
どういう意味だ______?
黒尾の事は幼馴染と聞いている
澤村「( ただの幼馴染なんだよな……?)」
木兎に絡まれている黒尾の様子をぼんやりと眺める
何だろう…
______胸がザワつく…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!