芥生結由の行動基準は、ただ二つ。
「防御」と「処理」ー…。
外国の夜、一人で散歩。
片手には紗都希先生の本。うちの聖書だ。
親がいたら、止められていたかもしれない。
でも、うちが行動を誰かに制限されることはない。
白髪に桃色の瞳。それがうちの姿。
闇世界ではその姿の人間の皮が高く売れるらしい。
だから、うちの親も殺された。
外国到着したその日に。…あっけなかった。
一番安全な国が日本だったのに。
旅行ごときで親は命を投げた。
まったく、迷惑だよ。
あんたらが死んだら狙われるのはうちなのに。
まぁ 取引されかけなかっただけマシか。
ろくでもない親だった。
うちを外国で売り、自分を見逃させようとして…。
立場が逆になってんじゃん。アホらし。
もう一週間したら日本の飛行機で帰れるけど。
あーあ。せっかく行きたいところあったのになぁ。
あー、また? また闇の取引人?
ーガシャン! 大きい銃が構えられた。
あ、こりゃ確定だな。親も射殺されてたし。
本当に嬉しいわけではない。
「どうにかして切り抜けなきゃ」。
貴方達も不運だね。うちが「能力者」で。
写真でも十分な価値があると聞いたことがある。
珍しい容姿を眺めたくて売られるのだから。
ーぐじゃ。
深夜に、二つの破裂音が木霊す。
立っていたのは、うちだった。
うちは「能力」をしまうと、
広がった血を眺めてはーとため息をつく。
自分の身は自分で守る。
そして、危険が訪れたら即座に全てを排除する。
芥生結由にとってはそれが当たり前だ。
そうやって生きてきた。
「能力」のおかげで、のんびり暮らせてきた。
結由は、考えない。
敵がどんな想いを持っていたとか、
敵がどんな事情があったとか。
ただ、自らの敵は、排除するだけなのだ。
ひどく機械的にー…。
自分の命の次に大切なのは、彼女の本だ。
ただ、ただただ美しい表現が… なんか、好き。
でも、今はデスゲーム。
全員が敵。
男女三人の姿を見て、うちはこう言った。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!