第37話

笑顔を閉じ込めた香り
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2026/02/18 09:56 更新



あなたの手を握ったまま、街を歩く。




街路樹の下に降る柔らかい日差し、
遠くで漂うカフェのコーヒーの香り。



——全部、香水のヒントになりそうだ。



あなたは小さなメモ帳を取り出し、歩きながら何かを書き込んでいる。




時折、空を見上げたり、通り過ぎる花壇の花に顔を寄せたり。




その仕草が、自然で、かわいくて、
胸の奥がぎゅ、と締め付けられる。



「……あのさ、りゅうき」




あなたが少し照れたように顔を上げる。



「ん?」
思わず顔を向ける。



「今日のこの場所、香水のイメージに使いたいの。だから、一緒に回ってほしい」



その言葉に、胸が熱くなる。




一緒にって、俺を頼ってくれてるんだ。
手を握る力が、自然に強くなる。



「もちろん。喜んで」




思わず笑顔になる。
でも内心、ドキドキが止まらない。



歩道の花壇の前で立ち止まる。




あなたがしゃがんで、一つ一つの花を嗅ぎ分けるように指先で触れる。




その姿に、目が離せなくなる。



「……香り、強すぎない?」




小声で俺に聞く。



「大丈夫だよ」
少し照れながら答える。




自然に、肩が触れ合う。
胸の奥が、ぎゅん、とする。




歩きながら、公園のベンチに腰を下ろす。




あなたはメモ帳を膝に置き、何かをつぶやきながら書き込む。




風がそっと彼女の髪を揺らし、
その香りに混ざった公園の木や花の匂いが、




まるで香水の原料みたいに感じる。



——俺、今、完全にきゅんきゅんしてる……



…あれ、なんか俺今日キモくね、?



思わず自分の手のひらを見る。




まだあなたの手を握ったまま。
自然に、でもしっかりと。



「……りゅうき、どう思う?」




あなたが顔を上げる。
その瞳に、少しだけ期待がある。



「……最高だよ」




思わず、言葉が出る。
その瞬間、彼女が小さく笑った。
その笑顔に、また胸が熱くなる。



最高なのは、…キミの方だよ。



——今日の香水



——あの笑顔のイメージを閉じ込めてほしい




公園の空気、花の香り、そしてあなたの横顔。




すべてが、香りのインスピレーションになる。




手を握り合ったまま、静かに時間を刻む。



今日は、二人だけの小さな冒険。




でも、俺にとっては、宝物みたいな時間だった。




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