街には雪が舞っていた。
イルミネーションの光が、白い雪に反射して
まるで星が地上に降りてきたみたいに輝いている。
会見の余韻もまだ残るまま、 私たちは二人きりで歩いていた。
「……すごい雪だね」
小さく呟くと、 りゅうきがそっと手を握り返す。
「こんな夜に、こうして歩けるなんてな」
彼の声には、普段のアイドルの笑顔じゃなく
ただ一人の“りゅうき”としての温かさがあった。
アトリエで完成させた《Étoile Blanche》を手首につけている。
冷たい夜風に混ざり、ふわりと香りが漂う。
隣の彼も、同じ香りをまとっている。
「今日、初めて二人だけのホワイトクリスマスやな」
ぽつりと言うりゅうきに、私は少し笑った。
「うん。初めてで、最高のホワイトクリスマス」
雪を踏むたび、キュッと小さな音がする。
耳に心地よく、胸の奥をじんわり温める。
「この香水……二人の香りだね」
彼が手首を少し寄せて、私の香りと重ねる。
ふわりと、白い雲のような香りが二人の間に立ち上がる。
——あの日のホワイトクリスマスも、
——別れを告げた夜も、
全部、この香りと一緒に消えていく。
「あなた……」
りゅうきが手を握る力を少し強めた。
「ずっと、離したくない」
胸がぎゅっと熱くなる。
言葉よりも先に、涙があふれそうになる。
でも、この涙は悲しみじゃない。
幸せと感謝が、一気に押し寄せてくるような涙。
「……私も、ずっと一緒にいたい」
静かに答えると、彼は笑った。
その笑顔は、どんなステージのライトよりも輝いていた。
雪の中、二人は手を握ったまま歩く。
空から舞い落ちる白い雪は、
まるで二人の未来を祝福しているみたいに
柔らかく、静かに、降り続ける。
小さなカフェの窓から漏れる温かい光に誘われ、
私たちは立ち止まる。
中に入ると、香りの中で二人だけの時間がゆっくり流れた。
「ねぇ、りゅうき」
小さな声で、私が言う。
「この香り、ずっと二人の記憶に残るね」
彼は頷き、手を私の頬に添える。
「忘れられへんで、最高のホワイトクリスマスやもん。」
雪が外で舞う夜。
香りが二人を包む夜。
この瞬間こそ、
私たちがやっと手に入れた、 やり直せた時間。
《Étoile Blanche》
—— 二人の恋の結末の香り。
過去も、今も、未来も、全部閉じ込めた匂い。
私は深く息を吸い、 彼の手を握りしめた。
——もう、離さない。
——これからも、ずっと。
雪の中で、 二人の香りと、
二人の笑顔だけが、 静かに、永遠を刻んでいった。
降り積もる雪に、2人の足跡が浮かぶ。
まるでチグハグだった歩幅を合わせるかのように
いつの間にか揃った足並み
久しぶりに一緒に歩いたキミは背丈も変わっていて
歩き方も、速度も。
笑い方も、ちょっとした話し方も。
でもキミは変わらず
あの日と同じ
白のクロックスを履いていた。
fin












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。