季節が過ぎるのはあっという間とはよく言ったもので、私はもう卒業を目前にしている。
今日は何を隠そう、私と冨岡先生が一緒にごはんを食べれる最後の日なのだ。
少し寂しい。
先生はそう思ってくれているだろうか。
少なくとも私はそう思っていることに気づいてしまった。
その時唐突に先生が口を開いた。
前ならこの人は何を言っているんだろうと思ったかもしれない。
でも今なら分かる。
これは彼なりの寂しいという意思表示なのだろう。
先生と一緒にごはんを食べる最後の日は思っていたよりも穏やかに過ぎた。
胡蝶と最後に昼食を共に食べてから数日後。
とうとう胡蝶たち3年生が卒業する日がやってきた。
仕方ないとは分かっていても、同じ建物で共に過ごした生徒たちに忘れられてしまうのは少し…
思うところがある。
式も終わり、俺はいつもの階段で座って桜を見ていた。
とても綺麗に咲いている。ここは穴場だ。
もしこの景色を見せるとしたら誰に見せたいだろうか。
1人の生徒の顔が思い浮かんだ。
彼女の声がした。気のせいだろう。
気のせいではなかった。
でも今なら気のせいにして伝えられる。
それから俺たちは階段に座り、桜を眺めながら話をした。
他愛もない、どうでもいいような話だ。
そうかと思えば胡蝶が真剣そうに口を開いた。
俺は彼女が言った意味をよく理解できなかったが、答えた。
彼女は微笑み、こう言った。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。