驚くあなたを他所に、腕を掴んでぐっと側に寄せたかと思うと、綾石があなたの首筋に顔を埋めた
綾石の髪が当たってるその擽ったさから身を捩ろうとしたが、ガッチリ掴まれて身動きがとれなかった
我慢できずにあなたが言葉を口にすると同時に綾石が首から離れた
状況が掴めなくて困るあなただが、綾石は何食わぬ顔で飄々としている。そして、そのまま上機嫌で部屋から出て行った。
綾石の突然の行動に、ずっと頭が"?"のあなただった
今日は皆が特に何も用事が無いせいか、ほとんど人が事務作業をしていた。まぁ戦闘が主な人たちはしてないけど。だからか訪ねてくる人もいず、ぼーっとする時間が多かった。そんな時、小林が訪ねてきた。
小林が立ち止まり、どうしたものかと思っていると急に小林の目が鋭くなった。途端にいつもの笑顔が消えてソファに座ってるあなたに近づき、両腕を掴まれ押し倒された。
あなたが小林の名前を言い終わる前に言葉を遮った。上から冷たい目で見下される恐怖に震えると、さらに小林の怒りが上がった気がした。
本気で分からないと言った顔をしたあなたを見て、小林が上から退いた。
またいつもの笑顔で部屋を出て行った小林に、結局何だったのかを聞き逃してまた頭に"?"だけが残った。
部屋から出た小林は綾石を探していた。
ふと喫煙所になっているベランダを見ると、綾石が煙草を吸っていた。
小林は無言で窓を開け、綾石に近寄った。
綾石の言葉に耳を傾けず、小林は綾石の胸ぐらを掴んだ。そして怒りを含んだ目で綾石を捉え、口を開いた。
虫刺されという単語を聞いて小林は、パッと手を離した。
さっきまでの怒りは薄れているように見える。
そう言って煙草の火を消してベランダから出ていく綾石と何か違うといった感じで悩んでいる小林も続いて出た。
小さな声でボソッと綾石が呟いたが、小林には何も聞こえていなかった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。