第33話

33話
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2024/03/09 08:42 更新
小林が行ったことでまた暇になってしまい、あなたはベッドでゴロゴロしていた。
あなた
(誰か来ないかな〜)
基本的にあなた自ら組の皆のところへ行くことはないし、行っても邪魔になるだけなので誰かが来るのを待つしか無い。娯楽がないあなたにとってあまりにも退屈な時間だった。
あなた
(小林さん何をあんなに怒ってたんだろ…
首に何か付いてるって言ってたけど……)
そう思って首を擦るが何もない。部屋に鏡は無いので、トイレへ行くついでに鏡で見てみようと部屋から出て行った。
部屋を出るとすぐに小峠にばったり出会った。
ちょうど良いと思い、小峠に確認してもらうことにした。
あなた
小峠さん!あの、私の首に何か付いてますか?
鏡がないので分からなくて…
そういうと小峠は私の首元を見てくれた。が、見た途端焦った顔をして私の肩を掴み揺さぶった。
小峠
だ、誰にされたんだ!?
あなた
こ、小峠さん落ち着いてください!
一体何があるっていうんですか?
そう言うと小峠は一旦冷静になり、揺するのを辞めてくれた。
小峠
はぁ…ちょっと待ってろ
小峠自身のスマホを取り出してあなたの首をカメラで撮って見せた。
小峠
……ほら
あなた
…?虫、刺され?
小峠
違うこれは…まぁ、いわゆる
キスマークってやつだ
あなた
キ、キスマーク…ですか?
小峠
あぁこれは周囲の人間にこいつは
自分の物だって分からせるために付
けるようなもんだな
あなた
じ、自分の…でも私誰かの物じゃないです!
小峠
じゃあやっぱり誰かが勝手に付けた
ってことだな
小峠は今にもスマホを握りつぶしそうなほど怒っている様子だった。
小峠
首に顔を近づけた奴とかいるか?
あなた
(小峠さんも同じことを…)
あ、綾石さんですかね…?
小峠
あいつか…
小峠はスタスタとどこかへ行ってしまい、あなたはまた一人になった。
あなた
小峠さんまでどっか行っちゃった
ぽつんと取り残されたあなたはトイレに行こうとしてたことを思い出し、また歩き出した。







あなた
はぁ…本当に付いてる…
あなたは一人、トイレの鏡の前でため息を付いていた。
あなた
(私は誰かの物じゃない…)
施設にいた頃を思い出す。
あの頃は殴られ蹴られの暴行をたくさん受けて誰かのストレス発散用具になっていた。それはまるで、自分の所有物であるかのような扱いだった。
それを思い出させるような首にあるキスマークとやらをあなたは早く消してしまいたかった。
あなた
(もう出ないと…。ここ男女兼用…というか
女の人は姐さん以外いないだろうから他の人
と鉢合わせでもしたら気まずいし)
あなた
…ん?
他の組員とばったりトイレで合ってしまったなんて気まず過ぎると思い、さっさと出ようとした…が、誰かがこちらに向かってくる足音であなたは出れなくなった。
あなた
(誰か来た!?まずい…)
あなたは咄嗟にトイレの個室に入り、人がいなくなるのを待つことにした。
???
〜♪
あなた
(この声…もしかして綾石さん?)
鼻歌を歌っている声に聞き覚えがあり、記憶を探ってみれば綾石という答えにたどり着いた。
小峠
見つけたぞ綾石
あなた
(今度は小峠さん…?)
何やら怒っている小峠が入ってきた
小峠
お前だなあいつの首に印付けたやつは
組員・綾石
やだなぁ小峠、あれはただの虫刺されだよ?
何怒ってんの
小峠
あれは虫刺されなんかじゃねぇ
お前あなたに何しようとしてんだ
ドア1枚隔てた先にいる小峠にあなたは少し怯えていた。今まであんな低く恐ろしい声色をした小峠を知らないからだ
あなた
(出たいよ…出るタイミング逃しちゃったよぉ!!)
心の中であなたは嘆いた。
組員・綾石
小峠〜俺とお前は同期の仲だろ?
それに好きな人も同じだし仲良くしようよ
小峠
っ!!
あなた
(…なんと!好きな人がいる!)
小峠
何のことだ
組員・綾石
隠してるつもり?バレバレなんだよ
組員・綾石
お前があなたちゃんに向ける目が明らかに違う
あなた
(わ、私?)
組員・綾石
好きなんだろ、あなたちゃんの事
あなた
!!!
あなたはぶわっと顔が熱くなるのを感じた。
混乱しているあなたの頭の中は好きという単語でいっぱいだった。
あなた
(ちょ、ちょっと待って…)
あなた
(綾石さんの好きな人が同じって言ってた…て事は)
あなたはしゃがんで頭を抱えた。今は茹でダコのようになっているこの顔を、人に見せられはしないだろう。

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