あなたside
前回のサイン会を終えてずっと考えた。
不審がられないように9人の活動を追いながら、でもそれでも私は終わりに近づいてると感じていた。
これからどうしていくべきなのか。
本当は自分の中で答えが出ているのに逃げ続けていた。
でもやっと答えと向き合うことが出来る気がする。
TWICEの人気は留まるところを知らず伸び続けていく。
出待ちも昔では信じられないほどになったしイベント事もだいぶ積まないと参加できなくなった。
間違いなくトップアイドルと言っていいレベル。
私は15万円をかけてサイン会への切符を掴んだ。
この切符は今までの中で一番大事なものになる。
目を閉じて息を吸ってゆっくり吐いて、私はきっと最後になるこの場所に足を踏み入れた。
ジヒョちゃんの大きな声が響き渡ってメンバーたちが入ってくる。
相も変わらず私の推しは私を見つけると嬉しそうな顔をして手を振ってくれる。
罪深い子だよね、本当に。
私は今日一押しのプレゼントをみんなに持ってきた。
いつも袋は大きい方だと思うけど今回はいつもよりもっとパンパン。
サナちゃんがそんな私を見て少しだけ不安げな顔をした。
あの子は鋭い子だからな...
自分の順番が来るまで定点カメラを回しながら目にメンバーたちを焼きつける。
幸いなことに今日は日本人メンバー同士で隣に並んでいないから日本語で話せば会話が周りに漏れることは無い。
1番目のジョンヨンちゃんは私が席に着く前にもういつものように声をかけてきた。
そう言って私はジョンヨンオンニに赤薔薇の花束を渡す。
そう言ってニコニコ笑うジョンヨンちゃんは可愛くもありかっこよくもあり、何も言えないまま終わってしまうのが寂しくて、溢れ出そうになる思いをこらえるのに必死だった。
改めて思う、ミナが前半じゃなくてよかった...
後ろにいてくれれば気持ちを作ることができるから。
ツウィちゃんはプレゼントに関していつもあまり言及するほうではないから思わぬ発言にびっくりして、いつもと違うことが終わりを告げる合図のように聞こえた。
私はそう言って天使セットを取りだした。
そう言ってツウィちゃんは私の顔をしたから覗き込んできた、なんだこれ、犯罪だろ。
私があたふたしながら答えているのに対してツウィちゃんは満足気にふふふと笑った。
いつからこんな上級テクニックの愛嬌を覚えたんだろうか、大人になったなぁ。
ツウィちゃんにからかわれつつも次の席へと進む、なんだか今日はメンバーに振り回されている気がする。
逆に言えばそのおかげで少し緊張もほぐれてきている。
私はそう言って"じゃじゃーん"とサリーのリュックとブーのぬいぐるみを取りだした。
私が取り出すや否やモモちゃんは目をキラキラと輝かせながら"早くちょうだい!!早くちょうだい!!"と手を伸ばしている。
子供みたいでたまらなく可愛い。
モモちゃんはすっかり私のことを忘れてサリーのリュックを背負うとマネージャーさんを呼んで自慢しながらブーを後ろに入れてとせがんでいた。
モモちゃんはそう言ってスタッフさんの言葉も無視して私のアルバムに可愛いブーの絵を書いてくれた。
はしゃぎすぎてひとり走りしたことを後悔したのか少しだけしょぼんとした様子でモモちゃんは私に挨拶した。
しょぼんとさせたまま次を約束できないことが悲しくて私は微笑んだだけだった。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!