第2話

私達 辿るは逆の ミライかな
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2025/10/06 05:40 更新
 「……ココは?」
そこは、白くて…
「……眩しいっ。」
太陽が、床に、壁に、天井に反射して、その空間は光に溢れている、綺麗な宮殿。真っ白な大理石で出来た床や柱、真横には高さが三メートルくらいある両開きの窓があり、そこから吹く風はなんとも心地が良いものだった。
 「おはよう。」
 「誰⁉︎」
いいや、わたしこの人のこと知ってる!顔も声も、名前もわかんないけど、でもわたし、この人を知ってるの。そんな気がする。
 「私だって聴きたいよ、アナタは誰?」
「私、分からないの。自分が誰なのか。そして、なんでかアナタのこと知ってる気がする。アナタは、私が誰か知らない?」
 「わたしも!わたしもあなたのこと、知っているような気がするの。」
なんか不思議な気分。どうして二人ともお互いのことを知ってるのかな?知ってても顔とか名前とかがわからないなら知ってるって言うのかな?てか、なんでわたしたちココにいるんだろ?
 ココにいる理由も自分が誰なのかも分からない上に、お互いにお互いを知ってるという謎もある。しかし、不思議と冷静でいられる。
 「ねぇ、わたしたちなんでココにいるのかな?」
 この子も同じことを考えてたみたいだ。
「記憶がないのも、私たちがお互いを知ってるのも謎だし……」
「そもそも、私たちお互いの名前すら知らないのになんで知ってるって分かったのかな?」
 確かに、どうしてだろ?見覚えがある、とかじゃないのに知ってるってハッキリわかったんだよなぁ。もしかして、記憶がないことと関係があるのかも。でも記憶がなくなったら知り合いだってことも忘れちゃうよね……どういうことなんだろ?
 そもそもこの子とどこで知り合ったのかも分からない。しかし、それが分かったところでこの子のことを思い出せるかというと、そうでもない。私たちはこの状態からどうすれば良いのだろうか?
 まあ、できることだけやればいいかぁ。でも、今わたしたちなにができるんだろ?
 そしてその時ハッと気づく。『何でも出来る』事に。今まで出来なかった事も、普通なら出来るはずのない事も、魔法の様な事だって、何もかも可能だ。試しに、食べ物を出してみる。
 「え、なにそれ」
 私が出したのは、ブルーベリー。カゴに入って出て来た(流石に一粒では無かった)。
「私たち今、何でも出来るんだよ。」
 「ホントだ!」
だしたのはグレープフルーツ。
 よりによってなんでそれ?笑
 「魔法みたい……」
 こうなると、一度やってみたい事がある。
「ねぇ、私、アナタと入れ替わってみたいんだけど、興味無い?」
入れ替わり……自分とは違う人の感覚を知る事。
これ程までに興味を唆る物は無い。
 やってみたい……他の人と入れ替わるのって、なんか楽しそう!
「あるある!やってみたい!」
 「じゃあ、始めるよ……」
 わたしの身体も、性格も、ここで育んだたった数分の記憶も……全部あなたのと『交換』しちゃおう。
 私とこの子の思考、感覚の違いを知る…………その不可能が今、可能になり得ることに私は感動とも、興奮とも言える感情を抱いていた。
 わたしは私に…
 私はわたしに…変わる。
その瞬間、色々なものが頭の中に入り込んできた………ソレの流れは速すぎた。脳が思考を止め、ソレの侵入を拒んだが止まらない。頭が割れそうで、目の前が真っ暗で、その苦しみの中で、気付いた……
(違う、入って来たんじゃない、『呼び起こされた』んだ!)
 コレの正体は、多分『記憶』。でも、思い出そうとしたらダメ。記憶が流れてるだけで苦しいんだもん。それ以上記憶に触れたら、間違いなくおかしくなっちゃうから。
 どれくらいの時間が経っただろう。いつまでも続く苦しみに、流石にそろそろ限界がやって来た。
 もう………これ以上…………耐えられない……………ワタシ、死んじゃうのかな?
 意識が遠のいていく中、(ワタシ、もう死ぬんだ……)ただそれだけしか考えられなかった。
 
 目が覚めた。
 「……ここは?」
そこは、白くて…
「……眩しいっ。」
太陽が、床に、壁に、天井に反射して、その空間は光に溢れている、綺麗な宮殿。真っ白な大理石で出来た床や柱、真横には高さが三メートルくらいある両開きの窓が少し開いていて、そこから吹く風が心地い……………………。

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