第35話

星屑が三十四
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2024/09/05 13:01 更新
あなたside
高師直
明日、お前の処刑を執り行う
あなた
…………わかりました
吹雪と大喧嘩のようなものをした翌朝。


私のもとに現れた師直様が言う。
高師直
最期に食いたいものはあるか
あなた
えっ
最期、最期ね……やっぱり言われても実感は湧かない。


でも、最期を飾るときに食べたいものがあるとすれば……
あなた
……雲出のどら焼きが食べたいです
高師直
……手配しておく
あなた
ご配慮くださりありがとうございます
雲出のどら焼き。


私と、吹雪を最初に結び付けたもの。
あなた
あの、……大丈夫ですか?
吹雪
……お腹が減って動けない……
あなた
えっ
あの時は確か、お腹を空かせた吹雪に私が分けてあげたんだっけ?


懐かしい、何年前の話だっけ。


ひとつひとつ、吹雪との記憶を思い出す。


初めて出会った日。話ながら菓子を食べた日。京の街で再会した日。


師冬としての吹雪にはじめて会った日。戦場で助けてもらった日。町に逢引に行った日。


全てが私の宝物。自分を満たしてくれる本当の「愛」。


ほかの誰でもない「私」を見つけてくれるあなたに近づきたかった。
あなた
(この最期もきっと、私たち二人の宿命)
昔読んだ本にあった。




_「宿命」とは、前世から定まっている避けることも変えることもできないこと。_
あなた
(吹雪を愛したことも、その愛で私の考えがすべて吹雪本位になったことも、)
あなた
きっと、私たちのなかで固く定まった宿命
自分の人生を振り返って、自分でも変わってるなと思う。


いつだって、吹雪のため。


そのためだけに生きてきた。


吹雪という光からこぼれた闇が産み作った私の人生。


一人で輝くことは出来ずとも、吹雪がいるから今の自分がいる。


そう思うとこの人生単位でついた心の傷も愛おしく思えてくるのだから不思議。
あなた
心の底から、貴方を……吹雪のことを愛してました





さぁ、私たちの物語の終末を迎えに行こう。

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