あなたside
吹雪と大喧嘩のようなものをした翌朝。
私のもとに現れた師直様が言う。
最期、最期ね……やっぱり言われても実感は湧かない。
でも、最期を飾るときに食べたいものがあるとすれば……
雲出のどら焼き。
私と、吹雪を最初に結び付けたもの。
あの時は確か、お腹を空かせた吹雪に私が分けてあげたんだっけ?
懐かしい、何年前の話だっけ。
ひとつひとつ、吹雪との記憶を思い出す。
初めて出会った日。話ながら菓子を食べた日。京の街で再会した日。
師冬としての吹雪にはじめて会った日。戦場で助けてもらった日。町に逢引に行った日。
全てが私の宝物。自分を満たしてくれる本当の「愛」。
ほかの誰でもない「私」を見つけてくれるあなたに近づきたかった。
昔読んだ本にあった。
_「宿命」とは、前世から定まっている避けることも変えることもできないこと。_
自分の人生を振り返って、自分でも変わってるなと思う。
いつだって、吹雪のため。
そのためだけに生きてきた。
吹雪という光からこぼれた闇が産み作った私の人生。
一人で輝くことは出来ずとも、光がいるから今の自分がいる。
そう思うとこの人生単位でついた心の傷も愛おしく思えてくるのだから不思議。
さぁ、私たちの物語の終末を迎えに行こう。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。