第36話

星屑が三十四
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2024/09/06 13:00 更新
用意された自分の小袖を身につける。


あ、簪と帯留め無い……


ゆっくりと自分の身だしなみを整える。


今から私は、死にに行く。


覚悟は出来てる。もう大丈夫。


身だしなみを整えて、用意されたどら焼きを食べる。


ほのかな甘み。この甘さが吹雪と私の思い出の味。


このほのかでもいい甘い空気が私と吹雪の間にもあればよかったんだけど。


あーあ、未練たらたらじゃん。
高師直
準備は
有無を言わせない師直様の口調
あなた
……一つ、欲しいものがあるのですが、
高師直
なんだ
あなた
私の……荷物の中から雪の飾りがついた帯留めと青い花の簪をください
どうしても、つけていたいものなんですと小さく零す。


しばらくして召使の方が届けてくれた。


髪に簪を差し入れる。


帯留めの飾りを撫でる。


これをつけるのも最期か、と思うと涙がこぼれそうになる。


自分の頬を自分で二度叩いてその涙を消し飛ばした。
あなた
(笑顔でさよならしたいもの)
高師直
……ついてこい
ゆっくりと牢から出る。


久しぶりに空の下で浴びた日光は柔らかくて心地が良かった。


その柔らかい日差しが照らす世界が夢の中の世界のよう。


もしかして、これは全部夢で、目が覚めたら吹雪と幸せに生きてる世界線だったりするのかな、


そんなことを思いながら歩みを進めると少し人が集まってる場所があった。


あぁ、あそこが私の死に場所だ。


予想通りそっちのほうへ歩みを進め、私はそこの地面に正座をする。
高師泰
兄者、俺はコイツを斬ればいいんだな?
高師直
そうだ
師泰様に私の首を斬らせるなんて、珍しいこともあるもんだな。


私を取り巻く人の中に吹雪を見つける。


あーあ、こんな姿本当は見せたくなんてなかったのに。


せっかくなら、綺麗な私を覚えていてくれたら嬉しいな。
高師直
一瞬で楽にしてやる
高師泰
だ、そうだが……
高師泰
……しっかし勿体ねーな。さっさと話せばよかったのに
あなた
…………自分でもそう思います
高師泰
しかも見た目は兄者好み……尚更話さないのがわからん
あなた
……私には好きな人がいますので
高師泰
じゃあなんで話さねーんだよ。生きてればそいつに会えるだろ
あなた
なんででしょう……一流としての意地……ですかね、?
高師泰
あっそ
そういうと興味なさそうに師泰様はそっぽ向いてしまった。


入れ違うように師直様が私の方へ歩み寄る。
高師直
言い残すことはあるか

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