これはまだ、少年少女が幼子だった時のこと。
とある少女が仕事のために京の町に向かっていたそうな。
今日来ているのは京の御醍醐帝のもと。
足利から大移動をして舞の仕事に来た。
舞の仕事で来たのだが……
吹雪に帝の元へ行くといった時のあの心配そうな表情。
絶対に生きて帰らねば……
顕家殿にはかなわないがな、と付け加えた帝の取り巻き。
顕家ってだれだろう。
薄い青地に白い茉莉花の花。
ところどころに施された金の糸の刺繍。
帝の選んだものというだけでもすごいのに、
こんなにもきれいなものをいただけるなんて。
そういうと嬉しそうにはにかむ吹雪。
あなたには、いつももらってばかりだな。とつぶやく吹雪。
ううん、そんなことないよ。私も吹雪にたくさんのものをもらってるよ。
なんて、意味のない言葉を吹雪にかけた。
私も、この時間が終わったらまた厳しい稽古の時間。
でも吹雪も頑張ると聞いた以上、俄然力は沸いていた。
私もがんばろっと。二人で見上げた柔らかな日の光に誓った。
二人きり、柔らかな日差しの中でゆるり過ごした、
そんな、とある日の出来事。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。