第15話

side Y
569
2020/08/19 04:17
your side
事が終わった後、
あなた、やっと俺の物になった。ね?ちょっとは楽になったでしょ?
といたずらに見つめてくる。どう答えたら分からなかった私は
あなた
もう、大人をからかっちゃダメ。平野さん、どうせ明日になったら全部忘れてるんでしょう?
あー、だよねー
と平野さんは申し訳なさそうに笑った。
あなた
これは、なかったことにしましょう。私も記憶から消します。でないと平野さんだけ何も覚えてないのはフェアじゃないし、私も仕事一緒にしにくいでしょ
そ、だね。
と静かに頷いた。
あなた
じゃ、明日11amに迎えに参りますので、おやすみなさい
はーい
バン(ドアを閉める音)

何だか気まずくて、そそくさと逃げてきてしまった。


さっきまでの体の火照りはいつのまにか消滅してしまっていた。


車に戻り一体何があったのか冷静に考える。


ちょっと待って、私平野さんとやっちゃったの?半ば無理矢理みたいなもんだったけど、うわぁ、私マネージャー失格だ。


いや、こんな年下とやっちゃうなんてマネージャー以前に人間失格だ。と絶望する。
あなた
はぁぁぁぁ(ため息)
とは言うものの私、上手に忘れられるんだろうか。

平野さんは明日になれば自動で完全リセットだろうけど。


正直言って平野さんとのセックスは信じられないくらい良かった。


今まで36年、生きてきて過去1で良かった。


あんなに相手を素直に求められたのは初めてだった。


この歳になって『体の相性が良い』とはこういう事なんだと痛感する。


溶け合うようなあの感覚がフラッシュバックして、再び体が熱くなるのを感じた。


認めたくはない。でも私、年甲斐もなく彼を欲してる。
あなた
わぁーーーもうやだ。どうしよう
涙目で車を発車させた。

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