your side
事が終わった後、
といたずらに見つめてくる。どう答えたら分からなかった私は
と平野さんは申し訳なさそうに笑った。
と静かに頷いた。
バン(ドアを閉める音)
何だか気まずくて、そそくさと逃げてきてしまった。
さっきまでの体の火照りはいつのまにか消滅してしまっていた。
車に戻り一体何があったのか冷静に考える。
ちょっと待って、私平野さんとやっちゃったの?半ば無理矢理みたいなもんだったけど、うわぁ、私マネージャー失格だ。
いや、こんな年下とやっちゃうなんてマネージャー以前に人間失格だ。と絶望する。
とは言うものの私、上手に忘れられるんだろうか。
平野さんは明日になれば自動で完全リセットだろうけど。
正直言って平野さんとのセックスは信じられないくらい良かった。
今まで36年、生きてきて過去1で良かった。
あんなに相手を素直に求められたのは初めてだった。
この歳になって『体の相性が良い』とはこういう事なんだと痛感する。
溶け合うようなあの感覚がフラッシュバックして、再び体が熱くなるのを感じた。
認めたくはない。でも私、年甲斐もなく彼を欲してる。
涙目で車を発車させた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!