🎼🌸side
家を突撃されて数日。
今日はある物が届き、仕事場に行っております。
そんな俺を……
下手な尾行で追いかけてくる人が5人。
何をしているのやら……。
そろそろ俺を見失ってもらおう。
さっと角を曲がり5人がまだ追いついていない時に黒い帽子を被った。
ようやく追いついた5人が目の前に来る。
目の前にいても、大声を出しても気づかない。
それもそのはず。
───俺はこの世ならざる者とほぼ同等なのだから。
俺ってね
───人間兼死神なんだよね。
この黒い帽子をかぶれば人間には俺の姿はうつらないし声も聞こえない。
普通にすれば普通の人間。
だけどこの帽子をかぶったり、ある能力を使えば俺はたちまち死神だ。
これはカウントダウンだ。
何かって?
それはね。
キキィィッ!ドンッ!
佐伯愛。
この子は今日ここで、死ぬ時だった。
だから死神の俺が迎えに来た。
死んだこの子の魂が。
ちゃんと空高く昇れるように。
部屋で一休み。
わかっただろう?
今日夕方起きた出来事が、
死神の俺がする仕事。そして───
───罰なのだ。
死ぬ人間は“神”が“便り”に名前、死亡場所、死因を書いて送ってくる。
それを見て場所に行き、死んだ人間の魂を空に還す。
さっき、この仕事は『罰』と言っただろう?
死神というのは、前世で『大罪』を犯したものが受ける罰なのだ。
でも死神はみんな前世を知らない。
それも罰の1つなのだろう。
悩み苦しめってことだろうか。
俺はちゃんとお腹の中から産まれてきた。
でも、死神。
おかしいよね。
人間なのに死神なんて。
死神には特徴がある。
もちろん能力もだけど。
身体の部位がひとつ無いのだ。
右足が義足だ。
いつも人間の死ぬさまを見てさ……。
悲しくないわけなくない?
えと……意味わかりました?
一応説明書いときます。
『死神』
・前世で大罪を犯した者が受ける罰。
・前世の記憶は無い
・身体の部位がひとつ無い
・神から“便り”が届くとその便りに書いてある人間を迎えに行く。
今日出てきたのはこれくらいか?
能力とかは出てき次第説明すんぜぃ。
んじゃまた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!