第51話

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9,067
2022/11/14 11:00
かっこよくなってきたんだよ?
見て、身長も伸ばして…!


家出みたいな大きな荷物を手に持っていて



くるくると私の前に回って見せた



可愛らしい声のその人は穏やかに微笑んでいる
Satomi
あなたの知り合い?
(なまえ)
あなた
そうらしいけど…私には、、、
そっかぁ…
名前言ったら分かるんじゃない?

ニヤニヤしながら「ふっふっふー…」と



怪しい笑みを浮かべて距離を縮めるようにして



トコトコと荷物を持ったまま走ってきた
(なまえ)
あなた
待っt…
Rinu
莉犬だよ!莉犬…っ!!

名前を言うと、ひょいと私の体を抱き抱えて



上目遣いで弾んだ口調で言った



その名前で走馬灯のように思い出した



言われてみれば雰囲気や話し方も変わらない
(なまえ)
あなた
…莉犬くん!?
Rinu
そうそう!莉犬なの~っ!!
Satomi
待てって、
状況が理解出来ないんだけど

テンションが上がっていた



上目遣いで「やったぁ!」と喜びを口にしている



だけど、さとみくんの一言で元の調子に戻された
Rinu
気づかなかったw
この人はどちら様?
Satomi
…あなたの"彼氏"ですけど
Rinu
えぇー?!あなた、約束破ってる!


ひらひらと薄い赤色のカーディガンを



風で揺らしながらぱちぱちと瞬きすると



「嘘ついた~っ!」と駄々をこね始めていた
Rinu
かっこよくなったら
付き合ってくれるって言ってた!
(なまえ)
あなた
まってまって!言ってた?!///
Rinu
幼稚園の頃に言ってたじゃん!
(なまえ)
あなた
覚えてないよ…!?

考えても考えても思い出せない



そんなことを言ったような、言わなかったような…



いつになったら下ろしてくれるんだ、、、?
Satomi
早く下ろしてくれない?
Satomi
今はオレが彼氏だから、君は違うの
Rinu
ここまで、何年も頑張ったもん…
絶対に譲れないから!


ぷんぷんと唇を尖らせながら



さとみくんに向かってべっ、と舌を出して



対抗していたがさとみくんも簡単に折れるわけなく
Satomi
もう、オレの彼女なんだって
Rinu
違うもん!
結婚してないならまだ違う!
Satomi
根拠も無いこと言うなって
Rinu
そっちも両想いか証拠ないじゃん!

莉犬くんが拗ねたような調子で



コンクリートの上をぴょんぴょん跳ねながら



首を勢いよく自分の意見に対して縦に振っていた
Satomi
いや、オレのだって証拠はある
Rinu
どこにあるのさ!
Satomi
ここだけど?

そう言うと、



こういう時の為に用意していたようにして



私の首の紅くなっているところを触った
Satomi
何も言えないでしょ?
Rinu
うぅ…ひどい~っ!


莉犬くんの目がさっきよりも潤ってきて



泣きそうになってしまった



さとみくんを見ると知らんぷりしている
Rinu
いいもん、、、っ
Rinu
予想外だったけど…しょうがない、



"今日一日でオレしか見えなくさせるもん!"

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