⚠弱り要素あります
目の前にはすぅすぅと寝息を立てる伊作の姿があ
った 。
良かった…生きてる……
目尻には涙の後があり 、泣き疲れたのだろう…
鎮痛剤が効いているのか 、忍びに似合わない無防
備な寝顔をしている 。
何か魔が差したのか、私の指は先輩の頬を突いて
いた 。
反応は無く、頬を優しくつまんだり、押したり…
先輩だからと躊躇していたのか、こんなこと、一
度もしたことがない…
途方もなく遠くに居た先輩が、すぐ近くにいる。
正直、何か不思議な感じだった。
眠そうな、ほとんど息で消えてしまいそうな声が
聞こえた。
慌てて頬に当ててた指を引っ込めて 、恥ずかしさ
のあまりに医務室を出ていこうとする 。
伊作は起き上がり 、あなたを止める。
でも、いきなり大きな声を出したせいか 、伊作は
咳き込んでしまう 。
その弱々しい姿に居ても立っても居られなくな
り 、開けた障子を閉めて 、伊作の背中をさす
る 。
あなたは伊作に抱きつく 。
1秒でも 、先輩が酷い人間に 、怖い人間に変わっ
たと思ってしまった自分が許せない 。
こんな心の底から温かい人を傷つけた自分も 、城
も 、世の中も許せない 。
『こんなこと…したくなかった』
そんな事言ったって 、散々学園も忍たま達もあなた
も傷つけたんだ 。
許してもらおうなんて 、思ってない 。
そんな気持ちと裏腹に言葉は溢れ出る 。
頭の中は罪悪感と責任で罪を償いたい気持ちでい
っぱいなのに…
なぜ逃げる言葉ばかり出てくるの…?
まるで脳と言葉が他人のように分かれた感覚に混
乱していると 、あなたが抱きついてきた 。
『伊作先輩は悪くないですよ』
『何一つ……』
どう頑張っても嘘には聞こえない真っ直ぐな言
葉 。
急に伊作が強く抱きしめ返してきたことに驚く。
相変わらずの不運に 、何故か笑えてくる 。
こういう弱い所を見せてくれる所が伊作先輩の真
の強さだから…
悪い仮面が消えたような気がした 。
身動きも取れないから 、鎮痛剤を取りに行けない
し 、正直どこにあるか分からない
仮面を付けるのには苦しみが伴う 。
でもそれ以上に外す苦しみは途轍もない 。
……正直力が強くて痛いんだけどなぁ…
しばらくすると 、新野先生が医務室に戻ってきた
つづく
そろそろ終わる気配がするような感じがします(?)















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!