その日、スタジオの空気は重かった
HANAの振り入れなんだけど、いろいろあって時間もすごく押してスタッフがピリピリしていた
メンバー間は悪い感じはしないけど
1人だけピリついてるのがジスだった
スタジオの奥から声が聞こえる
ダンスのリハ
元々HANAのダンスのフリはレベルが高いからね、、
私は資料を整理しながら、その様子を見ていた
音楽が流れる
メンバーが踊る
でも、途中で止まる音
スタッフの声
音楽が流れる
踊る
また止まる
ジスが少し強く息を吐いた
3回目
4回目
空気がどんどん重くなる
メンバーもジスに声をかけてはいるが、
ジスは焦りを隠せないでいた
そうスタッフが言った瞬間
ジスは何も言わずにスタジオの扉を開けて出ていった
スタジオがざわめく
私は少し迷った
スタッフとして追うべきか
それとも放っておくべきか
少し考えて、私はスタジオを出た
スタジオの裏にある非常階段の前
ジスがいた
壁にもたれてかかって座っている
声をかける
ジスが顔を上げる
少し驚いた顔
私は少し迷ってから言う
ジスは小さく笑った
でもその日の笑顔は少し、疲れていた。
私はジスの前に立つ。
ジスは少し考えてから言う
ジスが視線をそらす
私は少し黙る
それでも、私はその場を離れなかった
ジスが驚いた顔をする
私は肩をすくめる
ジスが少し笑う
少しの沈黙
静かな空間
ジスがぽつりと言う
その声は消えそうなくらい小さかった
今まで聞いたジスとは違う声。
私は何も言わず、隣に座った
ジスが少し驚く
ジスが少し笑ってみせる
ジスが目を閉じる
ジスが体を寄せて、肩が触れる。
私の肩にジスの頭が乗っかる
この静かな空間に、私の心臓の音が響き渡りそうなほどに高鳴る。
ジスが小さく言った
私は戸惑う
…………でも。
そう答えた。
ジスがふうっと小さく息を吐く
そして言った
その距離が、その消えそうな声が
私の心臓の鼓動をさらに早める

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。