長らく更新できておらずすみません💦
忙しい山場を超えたのでこれからまた少しずつ更新再開していきたいと思います。
お付き合いいただけたら幸いです。
今回のお話季節外れすぎてすみません💦
早く時を進めたくて…、ご了承下さい。
タクヤにとって冬は最悪な季節だった。
なぜなら嫌な記憶しかないから。
「冬はコタツにみかん」なんて世間は言うけれど、前の家にこたつなんてなかったし、ましてや暖房でさえも親が帰宅するまでつけられなかった。
だから毎年、学校から帰ると寒い家で1人縮こまって両親が帰ってくるのを待つ日々だった。
なのに今、タクヤの目の前に広がる光景はなんだ
かの有名なコタツに入って、とろけそうな顔をするユーキに何やら一生懸命お手紙を書いているタカシ。
カイ「タクヤおかえり、外寒かったでしょ。早く手洗ってコタツで温まりな。」
タクヤ「あ、うん。」
タクヤは手を洗ってコタツに入ると、「よし」とでも言うようにカイが頷いて「風邪ひかないようにね」とやさしく声をかけてくる。
タクヤは心がぽっと暖かくなったような感覚に視線を外す。
タクヤ「そういえばタカシずっと何書いてんの?」
目の前でさっきからずっとカリカリとペンを走らせているタカシ
タカシ「サンタさんにお手紙かいてんねん!」
タクヤ「あー、サンタさんね」
世間的にはサンタさんが来るのは当たり前のようだがタクヤにとっては信じられない事実だった。
朝起きたら枕元に欲しかったものが置いてある。
そんなミラクル起きたことないし、自分に起こるはずない。そう思っていた。
でも、毎年「なにお願いした?」「なにが届いた?」と会話する学校の友達を見て羨ましくも思っていた。
カイ「タクヤはもうお手紙書いたの?」
タクヤ「...俺にサンタさんなんてこないから。」
カイが一瞬、驚いたようにまばたきをした。
カイ「……なんで、そう思うの?」
優しい声だったけれど、その奥に小さな痛みが滲んでいる気がした。
タクヤは、ほんの少し唇を噛む。
タクヤ「……前の家で、言われたから。」
カイ「言われた?」
タクヤ「“お前にサンタさんなんて来るわけねぇだろ”って。……それで、本当に来なかったし。」
言いながら、胸の奥がじんと冷たくなる。
あの、暗くて寒い部屋の空気が一瞬で蘇った。
クリスマスの朝、部屋の隅に置いたままの小さな靴下。
中は空っぽのままで、それを見たときに感じた心の底の虚しさ。
カイ「こっち向いて」
仕方なく顔を上げると、カイはタクヤの顔を両手で挟み、まっすぐ目を見て言った。
カイ「ひどいこと言う人もいるかもしれない。でも俺は、4月からタクヤと過ごして、色んなことに挑戦して頑張ってる姿見てきて、プレゼントあげたいなって思ったよ。きっとサンタさんも見ててくれてる。」
タクヤは返事をせず、視線をコタツ布団に落とした。
心の奥の疑いは、そう簡単に消えない。
それでも、カイの言葉はじんわりと中に染み込んでいく。
そのとき、タカシが「できた!」と声をあげて、お手紙をユーキに見せていた。
タカシ「たかし、ねこちゃんのぬいぐる欲しいの!ふわふわでかわいいやつ!」
「タカシ毎年それじゃん」とユーキが笑う。
カイ「試しに一回だけでいいから書いてみな。もし来なかったら、そのときは俺が全力で文句言ってあげる」
タクヤは少し迷ってから、カイが差し出した紙とペンを受け取った。
文字を書くたびに、胸の奥がざわつく。
“サンタさんへ”
そこから先が、なかなか進まなかった。
でも、コタツの中の暖かさと、隣から時々聞こえるカイの呼吸音が、不思議と背中を押してくれる。
もし本当に来たら。
そんな「もしも」を、ほんの少しだけ信じてみようと思った。
夜中、ふと目が覚めた。
廊下は真っ暗で、静かだった。
胸の奥がそわそわして、もう一度眠ろうと目を閉じても、まぶたの裏に「サンタなんて来ない」という声がよみがえる。
どうせ、来てない。
わかってる。だから期待なんて、してない。
布団を頭までかぶって、朝が来るのをやり過ごそうとした。
「おーい、起きろー!タクヤー!」
リョウガの声が耳に刺さって、タクヤは顔を顰めながら布団から顔を出す。
リビングからはタカシの弾んだ笑い声が響いてくる。
枕元を見る。
そこには真っ白なシーツがいつも通り敷かれているだけ。
いつもと変わらなかった。
タクヤ「やっぱり。」
そう呟いてのそのそと布団を抜け出し、足を引きずるように廊下を歩く。
リビングをゆっくりと覗くと、クリスマスツリーの横に立つユーキが「タクヤ早く!」と手招きをしている。
するとそこには見覚えのない箱が置かれていた。
赤と白のリボン。タグには、確かに『タクヤくんへ』と書かれている。
でも、手を伸ばすのをためらった。
「誰かの間違いだろ」
そう言いかけた瞬間、カイがこっちを振り返った。
カイ「おはよ、タクヤ。…ほら、開けてみなよ」
声は穏やかで、いつも通りなのに、不思議と背中を押される。
そっとリボンを解くと、ずっと欲しかったサッカーのユニホームTシャツが入っていた。
胸の奥が熱くなる。
タクヤ「...うれしい」
ポロッとこぼしたタクヤの言葉にカイは何も言わずに頭を軽くくしゃっと撫でた。
それだけで、胸の中の固まりが、ほんの少しだけ小さくなった気がした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。