第4話

ツレない言い方
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2021/04/21 11:00
臣
あはは(笑)
翌日。

臣は自宅のソファで笑い声を上げた。
臣
それで?壱馬の出来はどうだった?(笑)
(なまえ)
あなた
頑張ってたわよ(笑)
隣に座るあなた。

昨日のリハの様子を話して聞かせていた。



良い眼だった…

ゾクゾクした…


歌い方にも…

表現の仕方にも…

年齢を重ねて醸し出す色気がたっぷり乗ってた…


手に出来ない愛…

それを欲しがる様が…

よく表現出来ていた…
臣
随分釣れない言い方だね?(笑)
(なまえ)
あなた
え?
臣
あなたの事だから、褒めてはあげなかったんだろ?
そう言われたら、褒めたのかどうか考えてしまった。

そっと抱き寄せられる肩。
臣
なんか妬けるな…。
(なまえ)
あなた
妬ける?
臣が?
どうして?(笑)
臣
だって、壱馬の事思い出してたろ?
(なまえ)
あなた
褒めてあげたっけなぁって思っただけよ。
臣
すっかりランペの専属だね。
久しぶりに俺の曲も書いてよ。
(なまえ)
あなた
三代目はもっと凄い人達が書いてるでしょ?
臣
そんな風に思ってたの?
(なまえ)
あなた
そんな風にって何よ?
臣
お前も充分凄いんだけど?(笑)
(なまえ)
あなた
褒めたって何も出ませんよ(笑)
肩から身体を撫でる手が腰に落ちる。

軽く開いた唇が触れると、チュッと音を立てた。
臣
今夜は泊まっていけんでしょ?
(なまえ)
あなた
明日も仕事なの。
臣
奇遇。俺も(笑)
ソファに簡単に押し倒される。
(なまえ)
あなた
ちょっと…臣……壱馬帰ってくるんじゃ…?
臣
その時はその時(笑)
そう言いながら、深いキスを落としてきた。
(なまえ)
あなた
んっ…//
わざと立てるリップ音。

重ね直しながらブラウスのボタンに手をかけた。
(なまえ)
あなた
臣ってば……。
臣
何…?
(なまえ)
あなた
こんなとこ見られたら…。
臣
まだ帰って来やしないよ……。
小さな抵抗を見せる細腕。

掴んでソファに押し付ける。

白い肌に吸い付けば甘い匂いが鼻をくすぐった。


ガチャッ…


音を立てて開かれた扉。

突然視界に入った光景に、思わず止まった壱馬。
臣
あらら、帰ってきちゃった(笑)
クスッと笑う。

部屋の中に漂う匂いで誰がいるかすぐ分かる。
壱馬
壱馬
……ったく…部屋でやれよ。
呆れた顔で自室の扉に手をかけた。
(なまえ)
あなた
あ、壱馬。
壱馬
壱馬
……あ?
顔も向けずに不機嫌な声。
(なまえ)
あなた
今日のリハ、悪くなかったわよ(笑)
壱馬
壱馬
………どーも…。
それだけを返すと部屋に入って行く。

荷物を床に落として壁に寄りかかった。



悪くなかった…?

それは…

良くもなかったって事か…?


俺なりに…

悩んで考えて作りこんだのに…


悪くなかった…?


扉の向こうから聞こえてくる声。
(なまえ)
あなた
さ、帰ろ。
臣
えー泊まれよ…。
(なまえ)
あなた
ライブ中でしょ。お預け。
臣
じゃあとりあえず、充電だけさせて(笑)
(なまえ)
あなた
ちょっ…臣ってば……んッふッ……//
二人のじゃれ合う声。



随分…

上から言ってくれんじゃんよ…


それも…

嫌いなんだよ…



兄貴…

どこがいいんだ…

何がいいんだよ…

そんな女…



聞きながら、壱馬はギュッと拳を握りしめた。

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