小さい頃。
お母さんの優しい声が好きだったのを覚えている。
暖かい家庭。
不自由のない生活。
ごく普通の日々を謳歌していた。
小学五年生。
それは塾の帰りに起こった。
暗い夜道をフラフラと歩きながらコンビニを見つけた。
財布を取りだしてぼそっとつぶやく。
わたしはコンビニに駆け寄った。
ガチャ
鍵を使って家に帰る。
ビニール袋を後ろに隠しながら家に入った。
、、、?
お母さんとお父さんがいつもならおで迎えしてくれるはずが、今日は静かだった。
その瞬間。私は何かを察してしまった。
頭にその考えが走ってからありえないほど顔が真っ青になって、力が抜けた。
手に握っていたビニール袋がバサッと手から落ちる音がして、それと同時に私は部屋の中を探し回った。
もしかしたらの話だ。
そう、私の頭の中で起きていることはあくまで予想だ。
そう落ち着かえながら変に静かな部屋を走り回った。
叫びながら寝室の扉を開けた。
あまりの光景に言葉を失った。
暗い部屋。
血痕の残った荒れた部屋。
元々両親だったと考えられるぐちゃぐちゃの死体。
誰かも分からないほどぐちゃぐちゃで赤く染っていた。
そこには凶器と思われる血だらけのナイフが転がっていた。
体を揺すっても抱きしめても返事はかえってこない。
《速報です。昨日午後11時。○○県△△市で男女夫婦と見られる死体が発見されました。》
《午後11時に自宅から「お父さんとお母さんが殺されている」と警察に通報されました。》
《犯人は今も逃走中で現場の死体はぐちゃぐちゃで原型を留めていなかったそうです。》
《今回の事件を警察は殺人事件として調査を続けています。…………》
施設のテレビに流れた速報。
それは、私の家のものだった。
私が早く家に着いていれば、
そんなことを考えていると時間なんてあっという間にすぎていた。
中学生の春。
私は引き取られた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!