第47話

最終話 46話
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2023/02/26 09:55
玲王はポケットから小さな箱を取り出した。

ぱかっと、その箱をあけた瞬間

私は一瞬目を瞑ってしまった。

今は夜だというのに眩しくて、目が痛くなったからだ。

まるで、先程まで夜空に浮かんでいた月を盗んで、縮めてその箱に詰めたかのように、

輝いている"指輪"がそこにはあった。

玲王
玲王
俺と結婚してください。
私は少し間を置いてから、
(なまえ)
あなた
はい、!
私は涙ぐみながらそう、返事をすると、

玲王は無言で私に指輪をはめてくれた。
(なまえ)
あなた
玲王の指輪、ちょっと貸して?
玲王
玲王
玲王
玲王
おう。
私は玲王の指輪を手に持って、

玲王の左手の薬指にもお揃いの"それ"をはめる。
(なまえ)
あなた
私も玲王の事を一生愛してると誓います!
玲王
玲王
あなた、、
(なまえ)
あなた
玲王、
そして、私達は見つめ合い、二度目のキスを交わす。

月夜をバックに2人は、愛を確かめ合う。


この物語は運命的に出会った2人の男女が、お互いに惹かれあい、すれ違いの末にお互いの大切なものになれる、というお話。 

誰にでも愛されてきた玲王と、誰にも愛されなかったあなた。

対照的な2人だからこそ、幸せになる事ができた。

きっと、この先も永遠に愛を紡いでいく事だろう。


そろそろ物語も終わりに差し掛かるが、後ほんの少しだけ続いてしまう。

この2人のことだ。

こんなキスシーンだなんてロマンチックな終わり方な訳がなく、
✳︎✳︎✳︎
玲王がもう夜遅いしそろそろ帰ろう、と言った時だった。

私はうっかり堤防の上で足を滑らせてしまう、

(なまえ)
あなた
うわっ!
玲王
玲王
あなた!?
玲王は咄嗟に私の手を掴んでくれるが2人一緒に海にドボン、という派手な音を立てて落ちてしまった。

冬の海に、それに加え今は夜だ。

マイナス0度を下回る極寒の海に、私達2人は落下していく。
幸い浅瀬で、私でも地面に足が着いた。
お互いはっと、水面から顔を出す。
(なまえ)
あなた
玲王!大丈夫!?
(なまえ)
あなた
私が足を滑らせたせいで、、!ごめん!!
玲王
玲王
ふっ、あははは笑
玲王がいきなり笑い出す。
玲王
玲王
あなた何も無いのに足滑らすとか笑
玲王
玲王
なかなかロマンチックなプロポーズにはならねえもんだな笑
(なまえ)
あなた
うっ、ごめん、、
玲王
玲王
いいんだよ。俺らはそれで。
(なまえ)
あなた
そうだね、
でも、やっぱり申し訳ない、、
高そうな服濡らしちゃったし、
そんな私を気遣ってか、玲王はある提案を持ちかける。
玲王
玲王
じゃあ、お詫びに俺の言う事1つ聞いてよ。
(なまえ)
あなた
分かった!私にできる事なら!
ーバシャ
玲王によって、私の顔に水が掛けられる。

(なまえ)
あなた
え?
玲王
玲王
折角海に来たんだし、ちょっと遊んでこーぜ?
(なまえ)
あなた
え!?
夏の海ならば私も喜んで、勿論!と言ったと思うが今は冬の海ですよ、玲王さん、、

でも言う事を聞くと言ってしまったので断れまい、、

いや、でも正直死ぬ程寒いし玲王の負担にもなるような、?
玲王
玲王
あなたがさ、昔言ってたじゃん。
(なまえ)
あなた
??
玲王
玲王
好きな人といつか海ではしゃぐのが夢だ、って。
確かに言ったことがあった。高校時代に。

海という素敵な場所で自分が大好きな人と一緒に楽しく過ごせたらどんなに幸せだろう、そう思ったことがあった。

いや、今でもそう思っている。


でも、、
(なまえ)
あなた
今!?
今は冬ですよ、玲王さん、

現在進行形で、腰辺りまで海に浸かっている私は凍え死にそうそうな勢いだった。
玲王
玲王
そう。今。折角だしな。
(なまえ)
あなた
わ、分かった。
さっきまでは躊躇していた私も何故か少し乗り気になってしまい、

ニヤッと笑い玲王にさっきの仕返しをする。
ーバシャ
玲王
玲王
つめて!
(なまえ)
あなた
仕返し〜!
✳︎✳︎✳︎
(なまえ)
あなた
というか、玲王のお願いなのに私の夢を叶えちゃっていいの!?
玲王
玲王
俺はあなたの夢を叶えてーの!
そう言って笑う玲王の顔は月光に照らされて真夜中でもよく見えた。

その笑顔に私の目は釘付けになり、私の頬も少し赤くなる。

ああ、私はこの人とずっと一緒に居たい。

ずっと、大好きだから、大切だから。

彼に貰った指輪を見つめながら改めてそう思った。
ーーーEnd。

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