??Side
今日はただ
五条家に生まれた六眼のガキどもを見に来ただけだ
それだけだったはずだ
だがその片方を、何故か娘のように思った、俺にガキはいないのに……
坊は振り返って俺を見たが、そいつは振り返らなかった
だがそいつが角を曲がった瞬間
あいつは振り返って言った
「お父さん」
嗚呼、こいつは俺の娘だ
昔の、俺の娘
今、思い出したよ
杏
会いたいけど、逢いたくなかった
彼は少し目線を落として
バツが悪そうに言った
私が口を開きかけたが
それより先に父さんが喋った
なんで謝るのか聞きたいのに、涙が溢れるせいで、言葉が出ない
お父様が私と目線を合わせて言った
ほんと、自分のことばっかりで嫌になる
でも私の口から出てくるのは己の願望だけだ
今の私は、捨てられかけた子供だ
そう言うと彼女は安心したようにまるで太陽のように笑って、
また頬に涙が伝った













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!