あれから何度も検査をした
間違いなんじゃないか。
どこかでミスをしてるんじゃないか。
そう言って医者も呆れるほど検査をした
微かな音だけが聞こえるため
自分が耳元で布団を擦った音だけが聞こえる朝に
毎日毎日嫌気がさす
喋る練習だって死ぬほどした。
でも結局喋れるようにはならなくて
こんな生活を続けること2ヶ月。
治ると言われた約束の日だった
「異常に治るのが遅いです。」
「もしかすると1〜2年かかるかもしれません。」
「はい。また来週。」
治る希望も消え去って
私はこの耳と共に過ごしていくことが決まった
いっそのこと切り落として捨ててしまいたいけど
そんなことして辛いのは自分だと気が付いて辞めた
唯一綺麗にできるため息
立派なため息をついて帰路につく
補聴器をつけてイヤモニ気取りで鼻歌を歌う、、
いや、歌っているつもりだ。
ドンッ
前から歩いてきた男性がこちらに気付かず、
綺麗にぶつかってしまった
私も気付かなかったから仕方がない
耳元で服と服が擦れる音がして
謝ろうと思ったけど言葉が伝わらないから、
どうしよ、
口が早くて読み取れない
なんて言ってるんだろう、
、、この人が難聴者に理解がなかったらどうする?
いや、その時はその時だ。
すると男性が気づいたのか
必死にジェスチャーをしてくれた
私は必死に頷いた。
難しいであろうジェスチャーを考えてしてくれていた
人にも迷惑をかけるのかこの耳は。
そう思いながらも怪我はないのでうなずく
すると男性は重大なこと気がついたようにメモを取り出して
文字を書いて見せてくれた
手を振ってくれたから返しておいた。
、、、耳が聞こえないのも、案外いいかもしれない
あなたの名ちゃん耳が聞こえないとイケメンとたくさん会話ができることに気がつきました














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。