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第1話

君のいたタイムライン
11
2025/03/25 01:00 更新
いつものようにSNSを開いたアカリは、目を疑った。画面の中央に表示されたのは、「このページはご利用いただけません」という無機質な文字。アカリの親友、ユウのアカウントが、跡形もなく消えていた。
「え…?」
アカリは何度も画面を更新したが、結果は同じだった。ユウのアカウントは、まるで最初から存在しなかったかのように、完全に消え去っていた。
アカリとユウは、SNSで知り合った。直接会ったことはなかったが、毎日メッセージをやり取りしていた。ユウのユーモアセンス溢れる言葉は、いつもアカリを笑顔にしてくれた。アカリにとって、ユウはかけがえのない存在だった。
「一体何があったの…?」
アカリは焦りながら、ユウにメッセージを送ろうとした。しかし、送信先のアカウントは既に存在せず、メッセージを送ることはできなかった。電話をかけても繋がらなかった。
アカリは不安に駆られ、ユウの他のSNSアカウントを探した。しかし、どのアカウントも削除されており、ユウの存在はSNS上から完全に消えていた。
アカリは、ユウとのメッセージのやり取りを振り返った。初めてメッセージを送った日のこと、好きな音楽の話で盛り上がったこと、そして、数日前まで他愛もない話で笑い合っていたこと。
「まさか、何かあったんじゃ…」
アカリは最悪の事態を想像し、いてもたってもいられなくなった。アカリは、ユウの住所も電話番号も知らなかった。SNSで知り合ったため、個人情報は何も知らなかったのだ。アカリは共通のフォロワーたちに連絡を取ったが、誰もユウの連絡先を知らなかった。
途方に暮れたアカリは、最後にSNSでユウのことを投稿することにした。
「ユウ、もしこれを見ていたら、連絡ください。心配しています。」
アカリはそう投稿し、ユウとのメッセージのスクリーンショットを添付した。そこには、二人の楽しかったやり取りが残っていた。
アカリの投稿は、瞬く間に拡散された。アカリと同じように、ユウを探しているというコメントが次々と寄せられた。
「私もユウさんと仲良かったんです。突然いなくなって、本当に心配です。」
「何か知っている人がいたら、教えてください。」
「ユウさん、無事でいてください。」
アカリは、ユウが多くの人に愛されていたことを改めて知った。同時に、SNSでの繋がりの脆さ、そして、ユウの不在の大きさを痛感した。
数日が経ち、アカリの投稿には様々な情報が寄せられた。
「ユウさんは、最近SNS疲れしていたみたいです。」
「何か悩みがあったのかもしれません。」
「もしかしたら、アカウントを間違えて消してしまったのかも…」
様々な情報が交錯する中で、アカリは、ユウがSNS疲れでアカウントを削除したのではないかという結論に至った。
「そうか、ユウは疲れてしまったんだ…」
アカリは、ユウの気持ちを理解できたような気がした。SNSでの繋がりは便利だが、常に誰かと繋がっていることは、時に大きな負担になる。直接会ったことがないからこそ、ユウの気持ちを想像することしかできなかった。
アカリは、最後にSNSに投稿した。
「ユウ、元気ですか?あなたは疲れてしまったのかもしれないね。ゆっくり休んで、また元気になったら、戻ってきてください。私たちは、いつでもあなたを待っています。またどこかで会えると信じています。」
アカリは、ユウとの思い出を胸に、前を向いて歩き始めた。ユウがいない世界は、少し寂しいけれど、ユウとの繋がりは、アカリの心の中で永遠に生き続ける。
アカリは、ユウが戻ってくる日を、ずっと待ち続けている。

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