第18話

世間は狭い
653
2020/09/24 10:58
※JC作品クロスオーバー











原一哉
原一哉
…………ねぇ、流石にコレやばくない?
山崎弘
山崎弘
いやフツーにやべぇだろ、この状況!
花宮真
花宮真
…………チッ……。
いつになく焦ったような山崎ヤマと一哉の声が無機質なコンクリートの部屋に響いたーーー
◆◇◆◇◆◇



(なまえ)
あなた
………なんで…?
真にも康くんたちにも連絡がつかない…。
今日はバイトがいつもより早めに終わったから部室まで迎えに来た。

なのにそこには真の姿はなく、それどころか康くんやカズくん、健くん、ヒロくんの姿もなかった。

たまたま残ってた部員に聞いても誰も知らない、先に帰ったんじゃないか、って言う子ばかりで全く足取りが掴めなかった。
(なまえ)
あなた
みんなのスマホにかけても誰一人繋がらないなんて……。絶対、おかしい。
どうしよう……何か…あったんだ……!
今の状況を考えれば考えるほど嫌な予感は強まっていく。

もし真に、みんなに何かあったら、俺はーーー
(なまえ)
あなた
とにかく、探さないと……!
俺は急いでスマホの電話帳を開いた。

◆◇◆◇◆◇


古橋康次郎
古橋康次郎
参ったな……。
以前試合で潰したやつがこの辺の
チーマーと繋がっていたとは。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
お蔭で俺ら全員こうして拉致された
わけだけどな。
いつも冷静な康次郎や健太郎の表情にも焦りが見え隠れしている。
その時、
「よう。バスケ界のクズ共。」
声が響いて1人の男が部屋へ入って来た。

いや、1人じゃない。

後ろからぞろぞろとガラの悪い連中が続く。
「この間はよくも好き勝手やってくれたよな。俺の腕もこんなにしてくれてよ。」
そう言ってギプスのついた腕を指差す。
「お前ら、真面目なやつが歯軋りして悔しがってるのを見るのが好きなんだろ?」

「なら、試合のときはさぞ楽しかったんだろうなぁ。」
ドカッ!
古橋康次郎
古橋康次郎
ぐっ……!
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
!古橋っ!
「人が苦しんでる姿が見られてよ。」
バコッ!
原一哉
原一哉
っ……!
山崎弘
山崎弘
原っ!
「俺は〝真面目〟だからなぁ。やられた分はやり返す主義なんだよ。だからーーー」


チキチキチキ………
「今度はお前らが俺に見せてくれよ。」
「お前らが苦しんで歯軋りする姿をよぉ…。」
花宮真
花宮真
…………っ!
剥き出しのカッターの刃が俺の頬に押し付けられた瞬間。

ドゴオオォォオンッ!!


錆び付いた鉄の扉が吹き飛んだ。
蘆屋
蘆屋
あ、やーっと見つけた~。
花せんぱーい、ここに居ましたよ~。
と、思えば、その場に似つかわしくない程間延びした声が聞こえて、扉の吹き飛んだ出入口から兄貴のバイト仲間の蘆屋とかいう女がすたすたと入ってきた。
そして。
(なまえ)
あなた
真っ、みんなっ!!
俺が、俺たちが、この世で最も信頼する人の声が響いた。

◆◇◆◇◆◇

あれから、俺は知り合いや友人に連絡して助っ人を頼んだ。

そして、1棟の廃ビルにたどり着いた。

途中でちょっとした邪魔が入ったけど、何とか最上階の1番奥にある部屋へ。

そこにはボロボロになった後輩たちと、カッターを手に襟首を掴みあげられている弟の姿がーーー。
夏目慎太郎
夏目慎太郎
あらら、これってちょーっと
危なかった感じ?
金剛阿含
金剛阿含
チッ、群れなきゃ何も出来ねぇ凡人カス共が。面倒なことしやがって…ア″ァ″!?
八樹宗長
八樹宗長
けど、アウトに近いセーフって感じかな。どうする、あなた?
やっくんに言われたとき、俺の中では既に何かが切れていた。
(なまえ)
あなた
決まってるでしょう。
わるいこは、ばいばいしないと…ね。
(なまえ)
あなた
死ねよ。
パチンッ!
俺のその言葉を合図に狂乱の宴が始まった。
◆◇◆◇◆◇

小鳥遊
小鳥遊
はーい、応急救護所はこちらー♪
古橋康次郎
古橋康次郎
………。
ぺち!
原一哉
原一哉
いっ、たいんですケド!?
夏目
夏目
はいはい、文句言わない。
(なまえ)
あなた
みんな、今日はありがとう。
本当に助かったよ。
全てが片付いた後、協力してくれた友人たちにお礼を言う。
城山猛
城山猛
気にするな。
弟が無事で良かったな。
神崎一
神崎一
ったく。
急に夏目から呼び出されてきてみりゃ何だこいつら。イキった雑魚かよ。
夏目慎太郎
夏目慎太郎
だってー、面白そうだったし、人手がいるって言うからさー。
蘆屋
蘆屋
とか言って~、結局ラクして楽しみたかっただけじゃないですかやだ~。
金剛阿含
金剛阿含
それで俺らまで引っ張ってこられたんですが。
夏目慎太郎
夏目慎太郎
あははー、ごめんねー。うちの妹と
一緒に過ごす時間邪魔しちゃって♪
金剛阿含
金剛阿含
(この野郎……(怒))
一気に騒がしくなった周囲に苦笑する。
花宮真
花宮真
………あなた…。
(なまえ)
あなた
…………。
真、無事でよかった…本当に。
罰が悪そうに真が声をかけてきて、本当は思いきり抱きしめたかった。

でも…。
八樹宗長
八樹宗長
はい、あなた。
(なまえ)
あなた
!やっくん…。
俺が戸惑っていると、やっくんから傷パッドを手渡された。
八樹宗長
八樹宗長
ずっと後悔してたんだろ?目を離したこと。だったら今度はちゃんと捕まえてないとな。
(なまえ)
あなた
うん……ありがとう。
やっくんから受け取ったパッドを真の頬に貼る。
(なまえ)
あなた
ごめんね、真。
また助けるのが遅くなっちゃったね…。
花宮真
花宮真
いい。それでもあなたはいつも必ず
助けに来てくれるだろ。
(なまえ)
あなた
頬っぺた……切れちゃったね…。
花宮真
花宮真
すぐ治る。だから痛くない。
(なまえ)
あなた
そっか……。
花宮真
花宮真
ーーなんて、言うわけねぇだろ、
ばぁかっ!
(なまえ)
あなた
!?いひゃい!
いきなり真に頬っぺたをつねられてビックリした。
花宮真
花宮真
痛いに決まってんだろ…!あなたがそんな顔してんのに…痛くないわけないだろ…。
キッと睨まれながら言われて、思わず一瞬思考が停止した。

そっか……。

そうだよね……。
(なまえ)
あなた
うん、ごめんね。
ごめん、まーくん。
俺は笑った。

みんなが安心出来るように。

これ以上、真を傷つけないようにーーー










【おまけ】
事件の翌日。
原一哉
原一哉
ってかさー、センパイの交遊関係
どうなってんの?
(なまえ)
あなた
ん?
原一哉
原一哉
明らかにヤバそうな人が何人か
混じってたよね。
(なまえ)
あなた
あぁ。彼らは直接的な友達ってわけじゃないんだけどね。
友達の友達、みたいな?
(なまえ)
あなた
俺が連絡したのはナツくんと阿含くんとやっくんだけだよ。
山崎弘
山崎弘
その3人がある意味1番ヤバそうでしたけど…(汗)
(なまえ)
あなた
そうかなぁ…?
みんな良い人なんだけど…。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
あれを良い人だって言いきれる先輩が1番最強(最恐)だよね。
古橋康次郎
古橋康次郎
さすがあなた先輩ですね。
花宮真
花宮真
ふはっ、当然だろ!
山崎弘
山崎弘
いや、何でお前が自慢気なんだよ。
(なまえ)
あなた
よくわかんないけど、まーくんが
嬉しそうだから良かったよ。
瀬戸健太郎
瀬戸健太郎
先輩も結局そこに行き着く
んですね…。
(なまえ)
あなた

                     了

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