新学期が始まってから1週間
校内はどこか浮き立った空気に包まれていた
それもそのはず――今日から1年生にとって大きなイベント、仮入部期間が始まるのだ
東京都立青葉台高等学校は、運動部も文化部も種類が豊富だった
運動部はサッカー部、卓球部、男子バスケ部、女子バスケ部、男子バレー部、女子バレー部、ソフトボール部、野球部、硬式テニス部
文化部は漫画・アニメ部、イラスト部、美術部、吹奏楽部、茶華道部、スクールアイドル部、eスポーツ部、軽音楽部
どの部活も先輩たちが勧誘のビラを配り、廊下や昇降口は賑やかな声であふれていた
昼休み、りのが教室でお弁当を片付けていると、副担任の 知念侑李先生 が声をかけてきた
りのは少し驚いた
自分がアイドルなんて、とても想像できなかったからだ
放課後、りのは勇気を出してスクールアイドル部の部室を訪ねてみた
扉を開けると、先輩たちが明るい声で迎えてくれる
部室には鏡張りの壁と音響機材が揃っていて、まるで小さなスタジオのようだった
先輩たちは笑顔で自己紹介をし、りのに簡単なステップを教えてくれる
ぎこちない動きに笑いが起きるが、それは決して馬鹿にするものではなく、温かい雰囲気に包まれていた
練習が終わる頃、りのは汗をかきながらも、不思議と心が軽くなっているのを感じた
帰り際、知念先生が声をかけてきた
校門を出ると、夕焼けが空を染めていた
りのの胸の中には、不安と同じくらいの期待が芽生えていた
その小さな決意が、りのの新しい物語の扉を開き始めていた
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。