月曜日・移動教室
その日は△△ちゃんが体調を崩して休んだ。
「早く元気になって!お大事に」
とLINEを送ったあと、私は移動教室へ向かう。前を見ると、孤爪くんが前をゆっくり歩いていた。
『…研磨くん!』
「ん…?あ、ナマエさん…」
『移動教室、一緒に行こ!』
「…うん」
彼は軽く頷き、二人で歩き出す。
『…研磨くんって、得意な科目とかある?』
「んー…特には…ない…」
『そっか…嫌いな科目も?』
「うん、まあ…どれも普通…」
⸻
移動教室に着くと、研磨くんと隣に座ることになる。
先生「はい、今日はここまで終わらせてねー。終わらなかった人は今日中に終わるよう、居残りですよー」
トントン
『…研磨くん…』
「…ん…?どうしたの…?」
小声で話しかけると、彼も自然に応じてくれる。
『…今日は、放課後部活ある…?』
「…ないよ」
『じゃあさ…一緒に帰らない?』
「…いいけど」
『やった…!』
「…ナマエさん、あと少しで授業終わるけど…もう終わったの?」
『えっ、まじ、まだ!あとちょっと…!』
「……居残りしちゃったら、一緒に帰れないよ」
『それはやだー!』
授業中も小さな声で会話が続き、自然と心が弾む。
───────
放課後・校門裏
研磨くんが「忘れ物があるから、先行って待ってて…」とのことだったので、私は校門の裏で待っていた。
足音が近づいてきて、ちらっと見ると――体育館で出会った背の高い人が立っていた。
『あっ』
「…あ」
声がちょっと重なって、思わず顔を見合わせる。
『バレー部の!』
「あのときの子!」
『あっ、あのときはすみません…』
「えっいやいや、そんなに謝ることじゃ」
『ありがとうございます…あの…』
「ん?」
『黒尾…さん、ですよね』
「えっ、俺の名前知ってるの?」
『はい、あの日の帰り、お話を聞いて…』
「…あー、そっかそっか。え、一緒に帰ったの…?」
『え?あ、はい…?』
「……そうなんだ…」
『………』
「………」
あのときと同じように、しばらく沈黙が流れる。
そのとき、横から名前を呼ばれた。
「…ナマエあさん…」
『あっ、研磨くん!』
「おまたせ……クロはどうしてここに?」
「ん、あー、たまたま会ったんだよ」
「そう…」
『……あ、忘れ物あった?』
「うん…」
『じゃあ、帰ろっか……あ』
『……黒尾さんも一緒に帰りませんか…?』
「えっ、俺?」
『はい! おふたりは幼なじみって聞きましたし、お家も近いんですよね。どうせなら一緒に…ね、研磨くん』
「…ナマエさんがいいなら」
『全然大丈夫だよ。二人の話も聞きたいし笑』
「…そんなに面白い話でもないけど」
「…あー、じゃあお言葉に甘えて」
『はい!あっ、私ナマエっていいます!よろしくお願いします、黒尾さん』
「ナマエちゃん、よろしくね」
『はい!』
こうして、3人で帰ることになった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。