第98話

安らぎの時間①
299
2019/12/01 03:47
「皆がいる、それだけでいい」

だからずっと、この幸せが続いたらと願わずには
いられない。



・北山side

ここは、山の麓の小さな村。

二階堂
ご飯できたよ
北山
おっ、うまそ
二階堂
俺が作った、エヘッ
北山
へぇ~やるじゃん
二階堂
食べさせてあげようか、アーン
北山
ばっ、バカ、自分で食える
二階堂
遠慮しないの、ほら
北山
いいってば
二階堂
きゃははは照れてる、か~わい
北山
かっ、かわっ…て
二階堂
あははっ
北山
こら年上をからかうんじゃね
ったく、ふっ


傷口は塞がったとはいえ、あれだけ出血した俺の
身体は体力が、かなり消耗していた。

でもって横尾さんも怪我をしていることから藤ヶ谷が、この村の長に話しをつけ村外れにある空き家を貸してもらったというわけ。

俺達は、暫くここで休息することにする。

藤ヶ谷
北山、入るぞ傷口を消毒す…
ってええっ!?
二階堂
きゃははは、ミツくすぐったい
北山
ダメだ、これはバツだかんな
二階堂
…もっ‥やめ…て‥くくくっ、あはは
北山
やだね、ニヤッ
藤ヶ谷
お前ら何をやっている!


(んっ?藤ヶ谷)

北山
メシ食っているだけだけど、なっ
二階堂
うん、ハァハァ、はぁ


(けど何故だか、こいつは妙な眼で俺らのことを見てよ)

藤ヶ谷
じゃ、どうしてニカの着物がはだけているんだよ
北山
あぁ~本当だ、お前めっちゃ色っぽくなってるじゃん
二階堂
ミツがそんな事をするからだろ
藤ヶ谷
そんな事って?あんな事とか、こんな事とか
北山
はっ?なにを言っているんだ、お前


人の言葉に敏感に反応し、やけに食らいついて来る藤ヶ谷「変なやつ」

藤ヶ谷
俺が今までどんな想いで
北山
思…い?
藤ヶ谷
いや、なんでもない
二階堂
どうかした?ガヤ
藤ヶ谷
よくはない、もう俺は
北山
なに独りでゴチャゴチャ言って
いるんで?
藤ヶ谷
そうだ、そうするって決めたんだ
二階堂
???
藤ヶ谷
本当だったら、こんな事にならなければあのとき


(あの…とき?)

藤ヶ谷
とにかく北山から今すぐ離れろニカ
二階堂
へっ?
藤ヶ谷
こいつの面倒は俺がみる


(はあっ)

二階堂
やだ、俺はミツが大好きなの


(あっ、どうも…)

藤ヶ谷
お前には健永がいるじゃん
二階堂
ガヤにだってワッターがいるし
北山
ちょ2人とも
藤ヶ谷
ワタと俺は、そんな関係じゃない


「そんな関係って、どんな関係?」俺の頭の中で
ハテナが飛び交う。

二階堂
へぇ~ガヤってもしかしてミツの
こと、ニヤッ
藤ヶ谷
ギクッ
北山
んん??


と、そのとき。

玉森
なに2人で騒いでいるんだ外まで
丸聞こえだよ
北山
タマ、ほっ
玉森
ガヤ、横尾さんが呼んでいる
藤ヶ谷
ワタが
玉森
ニカは俺と一緒に来い
二階堂
えぇ~どうして?
玉森
いいから早く!
二階堂
…はい、シュン


「なんだかよく分からないけど助かった、Thank You タマ」が、それから何故だか俺の隣には。

北山
なぁ~だからって、どうしてお前が
いるわけ?
源八
仕方がないであろ、あやつの頼みなのだから
北山
守護霊というのは主の頼みなら何でも聞くのか?
源八
時と場合による
北山
俺の守護霊は放置だけどな、ふっ
源八
‥‥‥


そう言うと黙り込んでしまい「まっ、あいつには
彼奴なりに理由があるんだろうけど」

それと薮が他のみんなとは別行動をしていることも知った、しかし…それも何らかの意味があるんじゃないかと俺は思っている「そうなんだろ?源八」

北山
静かだなぁ


「ずっとこうしていられたら、どんなにいいかしれない」でもそうはいかないのが現実、俺達にはやらなければならない事がある。

あいつらを元の世界へ戻すため…

永瀬のここでの柵(しがらみ)はあの法師だった、
あいつは自分の手でそれ断ち切り。

(…が、あとの連中はいったい誰なんだ?まずそれを把握しないと上手く聞き出し、ところでニカは何処へ連れて行かれてしまったんだ相手がタマじゃ大体の想像はつくが、クスッ)

源八
何を笑っておる?
北山
別に、ふっ


(この幸せを感じる空間が凄く愛おしい、それは彼奴らの無邪気な笑顔があるから護らなければ絶対に)

二階堂
ミツ、一緒に元の世界へ帰ろう
北山
おう


ニカから言われた言葉が脳裏を過った「ごめん…
その約束、守れないや」恨んでもいい憎んでもいいから、それでも俺は…いや俺達はやらなければならないんだと改めて思う。

(でも忘れないでくれ俺はいつでもお前らの中にいると、これからもずっと)




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