「皆がいる、それだけでいい」
だからずっと、この幸せが続いたらと願わずには
いられない。
・北山side
ここは、山の麓の小さな村。
傷口は塞がったとはいえ、あれだけ出血した俺の
身体は体力が、かなり消耗していた。
でもって横尾さんも怪我をしていることから藤ヶ谷が、この村の長に話しをつけ村外れにある空き家を貸してもらったというわけ。
俺達は、暫くここで休息することにする。
(んっ?藤ヶ谷)
(けど何故だか、こいつは妙な眼で俺らのことを見てよ)
人の言葉に敏感に反応し、やけに食らいついて来る藤ヶ谷「変なやつ」
(あの…とき?)
(はあっ)
(あっ、どうも…)
「そんな関係って、どんな関係?」俺の頭の中で
ハテナが飛び交う。
と、そのとき。
「なんだかよく分からないけど助かった、Thank You タマ」が、それから何故だか俺の隣には。
そう言うと黙り込んでしまい「まっ、あいつには
彼奴なりに理由があるんだろうけど」
それと薮が他のみんなとは別行動をしていることも知った、しかし…それも何らかの意味があるんじゃないかと俺は思っている「そうなんだろ?源八」
「ずっとこうしていられたら、どんなにいいかしれない」でもそうはいかないのが現実、俺達にはやらなければならない事がある。
あいつらを元の世界へ戻すため…
永瀬のここでの柵(しがらみ)はあの法師だった、
あいつは自分の手でそれ断ち切り。
(…が、あとの連中はいったい誰なんだ?まずそれを把握しないと上手く聞き出し、ところでニカは何処へ連れて行かれてしまったんだ相手がタマじゃ大体の想像はつくが、クスッ)
(この幸せを感じる空間が凄く愛おしい、それは彼奴らの無邪気な笑顔があるから護らなければ絶対に)
ニカから言われた言葉が脳裏を過った「ごめん…
その約束、守れないや」恨んでもいい憎んでもいいから、それでも俺は…いや俺達はやらなければならないんだと改めて思う。
(でも忘れないでくれ俺はいつでもお前らの中にいると、これからもずっと)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。