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第1話

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2025/08/19 23:53 更新
春の始まり。
始業式の朝、校舎の廊下に貼り出されたクラス表を見上げる佐久間。
制服の袖をきゅっと握りしめる指先が、微かに震えていた。
佐久間
佐久間
……別々だ……
阿部と同じクラスじゃない現実に、小さく息を詰める。
けど、笑顔を作るんだ。阿部に「平気だよ」って言いたかったから。
昼休み、息を切らして屋上の扉を開ける。
そこには、いつものように待ってくれている阿部の姿。
阿部
阿部
佐久間、おそっ
佐久間
佐久間
ごめんごめん! 廊下混んでてさ!
笑顔を向けると、阿部は少し困ったように笑って、小さくため息をついた。
阿部
阿部
クラス別々になって無理してない?
佐久間
佐久間
……してないよ!
佐久間は胸の奥がチクリと痛んだが、いつものように笑った。
放課後、並んで歩く二人の影が長く伸びる。
信号待ちで、そっと肩が触れる。阿部は何気なく佐久間の袖を掴んだ。
阿部
阿部
離れんなよ
佐久間
佐久間
うん……!
その仕草だけで、佐久間は安心するんだ。
阿部が自分を必要としてくれてる気がして。
放課後の帰り道、コンビニでチョコミントのアイスを買う二人。
阿部は
阿部
阿部
佐久間が好きなら
と言って苦手なはずのチョコミントを手に取った。
一口食べて顔をしかめる阿部。
阿部
阿部
やっぱダメだ、これ
佐久間
佐久間
だから言ったじゃん!笑
阿部
阿部
でも、佐久間と食べると不思議と悪くない笑
そんな言葉が、どれだけ嬉しかったか――
でも、教室では阿部といる時の温かさとは違った。
朝、机の中に捻じ込まれた生ゴミ。
鼻を突く臭いに、吐き気をこらえて震える指で机の中を掃除する佐久間。
いじめっ子
いじめっ子
うわっ、何やってんのw
背後からの嘲笑。
声が小さくても、心を深くえぐる。
佐久間
佐久間
(阿部ちゃんには絶対言えない……)
それでも昼休みは屋上へ行く。
阿部ちゃんが待っているから。
階段を駆け上がる足取りだけは軽い。
扉を開けるとき、深呼吸して笑顔を作る。
阿部が
阿部
阿部
遅かったね
と言うと佐久間は決まって
佐久間
佐久間
ごめん!
と返す。
佐久間
佐久間
会えたからもう元気出た!
そう言って笑う佐久間の笑顔は本物だった。
たった今までは苦しかったのに、阿部の顔を見ると本当に安心するんだ。
だけど、いじめはエスカレートしていった。
体育館裏に呼び出された日。
いじめっ子
いじめっ子
おい佐久間、こっち来いよ
嫌な予感がして、足がすくんだ。

倉庫の奥、数人に囲まれて、背中を壁に押しつけられる。
いじめっ子
いじめっ子
お前、マジでキモイんだよ
佐久間
佐久間
……っ
いじめっ子
いじめっ子
返事しろよ!
佐久間
佐久間
ご、ごめんなさい、ごめんなさい……
いじめっ子
いじめっ子
すぐ謝るwきもいんだよw
顔面を平手で叩かれ、視界が揺れた。

息が荒くなる。
視界が滲んで、涙がこぼれそうになる。
佐久間
佐久間
(泣いたら負けだ……)
いじめっ子
いじめっ子
うわっ、泣いてるww
でも震える唇を噛み締めても、涙は止まらなかった。
数日後の放課後。
佐久間は屋上のベンチに阿部を座らせると、自販機で買ったオレンジジュースを渡した。
佐久間
佐久間
これ、阿部ちゃん好きでしょ?
阿部
阿部
よく覚えてたね
佐久間
佐久間
にゃは、だって好きな人のことだもん
言ってから佐久間の顔は真っ赤になる。
阿部は少し照れた顔をしてから、ストローをくわえて一口飲んだ。
夏祭りの約束をした日。
校舎の裏庭で二人並んで座っていると、阿部が言った。
阿部
阿部
絶対、今年も一緒に行こうな
佐久間
佐久間
うん!阿部ちゃんも浴衣着てよ!
阿部
阿部
うん、着るよ
佐久間
佐久間
やったぁ!
阿部
阿部
ふふっ
阿部が笑う。その笑顔だけで心が満たされた。
佐久間
佐久間
(阿部ちゃんの隣にいられるなら、俺は大丈夫だ……)
でも、いじめは止まらなかった。
朝、机の中に使用済みの雑巾が詰め込まれていた。
佐久間
佐久間
うっ……!
腐った牛乳の匂いで吐き気がして、後ろの席の子が小さく笑った。
佐久間
佐久間
(教室にいるだけで吐きそうだ……)
でも阿部の笑顔を思い出して、踏みとどまった。
梅雨。
びしょ濡れの佐久間が玄関で待っていた。
阿部
阿部
何やってるの?傘忘れたの?
佐久間
佐久間
うん。でも阿部ちゃんと帰りたかったから…
阿部はため息をつきながらも、傘を差し出した。
阿部
阿部
風邪ひくよ
佐久間
佐久間
阿部ちゃんがいれば平気だもん!
雨に濡れた佐久間の髪から落ちる雫を、阿部は指で払った。
一瞬、佐久間は小さく目を伏せて「ありがと」とつぶやいた。
七夕の日。
佐久間は一枚の短冊に願い事を書いていた。
佐久間
佐久間
ずっと阿部ちゃんの隣にいられますように
それを誰かに破かれても、佐久間は泣きそうな顔をぐっとこらえて、新しい短冊に同じ願いを書き直した。







主やで
初めまして!
主の夏音(なつね)です!
『夏の終わり、消えた声。』第1話最後まで読んでくださりありがとうございます😭

初めて小説を書いたのですがどうだったでしょうか...!
もしかしたらなんか変だなと思うところもあると思いますが、そこは目を瞑っていただけると嬉しいです...笑

このお話は5話ほどで終わると思います!
(5話もいかないかも...)
ぜひお気に入り登録して最終回まで呼んで欲しいです✨

以上!投稿主からでした〜(*^^*)

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