第5話

▶︎ 1-1話:青春の香り と チャイムの音
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2024/04/02 15:54






 窓の隙間から入る仄かな春の香り
 夕陽の差し込む放課後の教室
 机を丸くし、その上にお菓子を広げる



 美しく幸せな青春の一幕だ
 なんの不満も文句も無い放課後の1ページ



 ただ1つの難点を挙げるのならば、

 何故か開かなくなった教室の扉を如何にかしては欲しい



(なまえ)
あなた
さて、どうしようか
 一緒に教室から出られなくなった友人にそう問い掛けてみる
 どちらも微妙そうな顔でマトモな返事は望めそうに無いが



フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
んー…もう時間的に教室に帰ってくる
クラスメイトは居なさそうだしね…
(なまえ)
あなた
ね、どうする?椅子でも投げて壊す?
フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
それはちょっと脳筋過ぎじゃ…
未来さんどう?校内電話繋がりそう?
アスノ ミク
アスノ ミク
ダメっぽいですぅ…
先生達今日は早く帰る、と言ってましたし… 
(なまえ)
あなた
生徒ちゃんと帰ったかくらい確認しろよな…
職務放棄すんなよ公務員…



 ガチャガチャとドアノブを捻るが反応は無い
 ついでに電話の方も反応は無い
 危険防止の為、教室の窓は必要以上には開かない


 つまり、詰み



アスノ ミク
アスノ ミク
あ、そうです!スマホで誰かに連絡を……!
(なまえ)
あなた
や、未来さっき月末のせいでギガ切れって言ってただろ、 無理じゃん。ついでにボクも既に底付いてる。ゆうまは?
フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
……切れてる
(なまえ)
あなた
はぁーい、詰み詰み〜
なーんも変わらねぇじゃん!!
フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
そう言えば今日土曜だから、明日休み…
アスノ ミク
アスノ ミク
お、お菓子なら有りますから、ごはんは大丈夫ですよ…! 



 全員沈黙
 なす術無し





 と思えば、耳を劈く大きな音が響き渡った



アスノ ミク
アスノ ミク
っきゃ!!きゅ、急にチャイムが……?




「 1年A組に残ってる、愛澄未来さん、
  符硯ゆうまさん、あなたさん。
  もう貴方達だけですなの!早くホールに来るなの!! 」


(なまえ)
あなた
あちゃ、なのちゃんお怒りだね〜
フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
で、でも教室から出られないし……
アスノ ミク
アスノ ミク
あ、じゃあ!ホールに電話をしてみましょう!
(なまえ)
あなた
それだナイス天才神未来愛してる


 試してみると確かに電話が繋がり
 「迎えに行くなの!」と言われた。一先ず安心だろう。


(なまえ)
あなた
てか、なんでホール集合してんだろうね
フズリ ユウマ
フズリ ユウマ
分からない…俺達だけ居ないって事はみんなは居るのかな? 
(なまえ)
あなた
その場合ボクらハブられてて草






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