12月25日…それは、クリスマスという年に一度のイベントだ。本来は、イエス・キリストの降誕を記念する祭りなのだが、日本ではみんなが楽しむイベントとなっている。まあ「みんなが」と言っても、限られた人の可能性もある。
そんな今日は、僕と奏、まふゆさん、蒼、水夏、冬花で集まっていた。
今、僕達は少し不可解な状況に陥っていた。
奏が少し頬を赤らめながら、僕に対して問いかける。
奏が満面の笑顔になる。その笑顔こそが1番かわいいのだが。
蒼はというと。サンタのコスプレをした水夏に迫られている。
相変わらず、押されているようだ。本当に、蒼は水夏に対して弱い。他の人間からであれば、何をされてもそこまで動じないのだが、水夏相手になった瞬間に弱くなる。おそらく、いつものような思考ができていないのだろう。
まふゆさんは鏡の前でくるくる回り、自分の衣装を確認する。崩れていないかなどを確認しているのだろう。
素直に褒め言葉だ。実際、冬花のコスプレはすごい。僕はコスプレがどういうものなのか理解しているわけでは無いので、いろいろ言うことはできない。でも、似合っているのはたしかだ。
僕はサンタの衣装が入っていた段ボール箱を折り畳んだものを冬花に渡す。
冬花はそれを受け取り、玄関へ向かう。大変不服そうな表情だった。
僕達はその後、衣装を片付けて、昼ご飯を食べた。料理は水夏と冬花で行った。やはり、この2人は料理がダントツで上手い。
このように、奏にも好評のようだ。
ご飯を食べ終わった僕達は、それぞれでゆっくり過ごしていた。冬花は午後からは実家に戻るらしく、先に帰った。妹にクリスマスのプレゼントでもするのだろう。また、蒼と水夏も自分達の家へと帰った。そして、僕と奏は今日の夜のご飯の為に買い物に出かけていた。
僕は歩きながら呟いた。その場には奏も一緒にいたため、奏が反応する。
少し、沈黙の時間が続く。
せっかく買い物に来ているのだ。何か欲しいものがあれば買ってあげたい。お金なら、みんなの活動のおかげでたくさんあるため、大丈夫だ。
奏が僕の手を握る力を強めながら言う。
僕達はキーボードが売ってある場所へと向かった。
奏には、白いキーボードとかなり性能が良いヘッドホンを買ってあげた。奏はかなり長い間作業をするので、性能がいいものを買った。値段が高いため奏は遠慮していたようだが、僕から頼みこんで買った。せっかくのクリスマスだ。まふゆさんにもキーボードを買った。どのようなものが好きなのかはわからないが、無いより良いだろう。少しくらい高くても気にはしない。それに、元は奏が作った曲からきているのだ。使い惜しむことはできない。
そういえば、今日はイルミネーションが飾られている場所があるらしい。
家に帰ったら、まふゆさんも誘って見に行くとしよう。
そして、僕と奏は家へと足を進めた。
僕達は家に着き、リビングへと戻った。
まふゆさんはリビングでくつろいでいた。何も持っていないため、本当にくつろいでいるだけのようだ。僕だったら暇で仕方がないだろう…。まあ、隣に奏がいてくれるのであれば別ではあるが。
僕と奏はさっき帰って来たばっかりだ。そのため、何もすることはなかった。まふゆさんを玄関で待つ。まふゆさんが来たら、すぐに行けるように。
僕達はイルミネーションがあっている場所に来ていた。しかし、本当に綺麗だ。自然とはまた違った美しさがある。
雪だるまやクリスマスツリーなど、様々なものの形があり、見ていてとても面白い。中には点滅するタイプのものもあるようだ。
寒さも忘れるほどだ。
奏が僕の手をそっと握る。
たしかに厚着はしているが、寒いのは事実だ。僕は奏の手を握り返す。すると、反対の手にも何かが触れる感覚があった。
僕は少し戸惑い、奏の方を見る。すると無言で、笑顔で頷いていた。そして、僕はまふゆさんの手も握る。
僕達はそのまま3人で仲良く手を繋いで家まで帰った。そういえば、最近はまふゆさんが妹のように見えてきた。毎日同じ家にいるからなのだろうか?
僕達は家に帰ってから、夜ご飯を食べていた。今日の夜ご飯は外で買ってきた。
僕もその料理を食べる。たしかに美味しい。でも、水夏や冬花が作る料理の方が美味しいかもしれない。
奏が僕とまふゆさんをジーッと見つめる。
僕はまふゆさんを見つめる。
たしかに、似てはいるかもしれない。でも、僕自身はまふゆさんほど整った顔をしているわけじゃないと思っている。「似ている」部分もあるだろうが、「違う」ところもしっかりあるだろう。まあ、別人なのだから当然だ。
まふゆさんも僕を見つめている。同じようなことを思っているのだろうか?それとも、また別のことだろうか?
いや、よくわからなかったようだ。
夜ご飯を食べ終え、お風呂を済ませ、それぞれの部屋に戻ってくつろいでいた。まあ、僕は「くつろいでいた」と言っても、ベッドに寝転がっている状態だ。
作業をしていた奏がため息をつく。
奏もベッドに入る。もう、これが日常になっていた。だいたい4ヶ月くらいだろうか?今では奏もかなり慣れたようだ。
そうだ。奏との幸せな生活。親友の幸福。自分の家。仕事上でのいろんな人との繋がり。様々なものが手に入っている。強いて言うならば、「お父さん」だろう。まあ、奏の重荷になってほしくはないため、口にすることは無いだろうが。
それにしても、ベッドで寝転がっているからだろうか?とても眠くなって来た。
私が欲しいもの…今日、兄さんに聞かれてからずっと考えていた。私が欲しいものって何なんだろう…?私が兄さんに対して願っていること…。
私は…兄さんと、「恋人らしいこと」をしてみたいのかもしれない。兄さんは、私のことを大切にしてくれる。でも、大切に「しすぎている」ところもある。
恋人になってから、まだ「恋人らしいこと」をしたことがほとんどない。兄さんが気遣っているのかわからないけど、「キス」すらもしたことがない。それなら、私の願いは…
…返事がない。寝てしまったのかもしれない。
この気持ちは…また明日伝えてみようかな。別にクリスマスじゃなくてもできる。
そう思い、私も目を閉じた。


















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。