第89話

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2026/02/14 09:00 更新
「やーーっば、もうお昼の時間じゃん。」

フラフラ村を歩き回るうちに時間はドンドンと過ぎていき、気が付けば、いつもならお昼ご飯を食べている時間になっていた。
村の端っこギリギリまで行っていたフラワーは、駆け足で家まで一直線に向かって行く。
やがて家の前まで辿り着くと、走っていた時の勢いのまま、乱暴にドアを開けた。

「ひゃー、まだセーフだよね?まだご飯できてないよね?」

キッチンにいるであろうスカイたちに聞こえるように、フラワーはわざと声を張りながらそう言う。
だが、その声は家の中の違和感と感じると共に、段々と小さくなっていった。
やけに静かな家の中では、食べ物のいい匂いも、調理中の物音もしない。
食材でも買いに行っているのか、とゆっくりリビングに向かうと、彼の視線はリビングにあるソファに釘付けになった。

「…もうちょっと声抑えてろ。」

ソファにいたのは、少し怪訝そうに眉をひそめるスカイ。
そして、スカイに体を預けながら眠っているアリス。
アリスの体には柔らかいブランケットがかけられており、心地よさそうに小さな寝息をたてている。

「姉貴寝ちゃったの?」
「あぁ。あったかいもん飲んだら眠くなったんだろ。」

ゆっくりフラワーがアリスに近付くと、机に置かれているコップが三つ目に入る。
一つはスカイが飲んだであろうカップ、もう二つは、ガラス製のコップと少し大きめの子供用のカップだ。
子供用のカップにはまだ半分ほどココアが残っていたが、もう冷めきってしまっている。

「コイツも、まだまだガキだな。」

ココアを一瞥したスカイは、優しい目線をアリスに向け、彼女の頭を撫でようとする。
だが、その手はフラワーに掴まれたことにより、宙に留まることとなった。

「…姉貴に触らないでくれる?」

そう言うフラワーの目は、まるで敵を見ているような鋭いものだった。
スカイを掴む手に力が加わると、彼の顔が僅かに歪む。
すると、スカイはフラワーの手を振り払い、そのまま振り払った手をソファの背もたれに乗せた。
その様子を見たフラワーは、アリスを抱き上げると二階へと上がっていく。

いつもアリスと寝ている寝室へ彼女を運ぶと、そのまま自分のベッドに腰かけた。
自分の足の上にアリスを座らせ、腕で彼女の体を支える。
そのまま両腕で抱き締めると、アリスの肩に自分の顔を埋めながらゆっくりと深呼吸をした。

「さいっあく…ほんと…。」

絞り出した声は寝ているアリスに届いていたが、何の反応をもらえることなく消えていった。

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