新学期初日の放課後。
教室はざわつきながらも、
どこか落ち着いた空気が漂っていた。
竜大 「 なあ、碧空、
今年もみんなで文化祭出るんだろ? 」
隣に座るお調子者の竜大が、
何かを企んでいるかのように
にやっと笑いかける。
碧空 「 ...まぁな 」
俺は、照れ隠しに肩を竦めた。
真虎 「 よかった、だってそらがいないと
俺ら、まとまんねぇし 」
クールな真虎が、少しだけ笑った。
晃大 「 ほんとにね笑
去年どれだけ大変だったことか 」
碧空 「 いやそれはごめんじゃん笑 」
隼麻 「 何で休んだんだよ〜 」
碧空 「 ......まぁ、いろいろ?笑 」
竜大 「 女でも作ってたりして笑 」
碧空 「 、......... 」
星那 「 え図星、!? 」
碧空 「 違うから、笑笑 」
去年の文化祭。
俺は、参加しなかった。
みんなで有志団体でダンスしよう、って
星那の提案で練習してた。
......... でも、
俺は、...俺だけは、
直前で参加を辞めた。
......文化祭当日。
体育館のライトの下、
息を合わせて踊る仲間たち。
その横で、俺は舞台袖から必死に笑おうとしたけど
目の奥が熱くなった。
出られなかったのは、あの日の朝に足をひねったから。
たったそれだけの理由なのに、
やけに取り返しのつかないことをした気がした。
「 …泣いてる? 」
舞台袖にしゃがみ込んだ俺の肩に、
そっと手が置かれた。
振り向くと、あなたが困ったように笑っていた。
「来年は一緒に出ようね」
その約束は、今も胸の奥でくすぶっている。
────────
そんなことを考えていたら、
自然と俺の目線はあなたに向いていた。
彼女はノートに何かを書きながら、
時折クラスメイトと話して笑っている。
その笑顔は、いつも俺の胸をぎゅっと締め付ける。
竜大 「 なあ、また今年も
あいつと仲良くすんのか? 」
竜大が、俺にそう耳打ちしてきた。
碧空 「 ......ああ 」
俺は小さく頷く。
真虎 「 なんちゃん、
まだ言えてへんの? 」
真虎が、呟いたように言った。
碧空 「 言えるわけないよ、 」
真虎 「 まあ、隼麻がいるもんね笑 」
碧空 「 どうせ俺、隼麻に勝てないから 」
真虎 「 そんなんまだ分からへんで? 」
「 いつか、
なんちゃんに振り向くかもやし 」
碧空 「 でも可能性は低いし... 」
真虎 「 まあな。 」
真虎 「 でもさ、
いつかは決着つけないと、辛くなるで 」
教室の窓からは、
春の柔らかな光が差し込んでいる。
その光の中で、俺の心は今日も揺れていた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。