🐿️
…一晩寝ても、全部夢だったとか
そういう都合の良いことは大抵叶わないということは、もう分かっている。
朝食を用意していると、背中に重くのしかかってくるスキズ内1番背の高い奴。
あんなことがあったのに、なんでそんないつも通りにくっついてくるんだよ
ていうか、いつもより…近い、重い
俺はスキンシップは好きだけど、身の危険を感じる相手は別だから。
もうメンバー全員だけどな!!!
はぁ…、とため息をこぼしながら、貰ったコーヒーマシンで淹れたコーヒーを飲む。
これから仕事だと言うヒョンジニの分まで淹れてあげていた俺はどんだけ優しいのだろう…
一言言ってやろうと思って、
…いや、ただ沈黙がやけに気まずくて
俺の方から口を開いた。
なんとも無いような顔しやがって。
むかつく。
俺はこんなに思い悩んでるのに…。
見るからにパボそうな表情でこっちに向いたヒョンジニに、心の中で怒りをぶつけた。
しっかり目を合わされて、にへらと笑いながらそう言ってのけるヒョンジニに
少し…心臓が誤作動を起こしたみたいだ。
ていうか、誰でもこんなこと言われたらどきっとするだろ。
あー、あれだよ!
幽霊とかそっち系の、どき。
なんて、誰に聞かれるわけでもないのに自分自身に言い訳をしていたら、スケジュール終わりのスンミニが来た。
やけに「ハニが」を強調していたのは気のせいなのか、それを聞いてむっとした顔をするスンミニは気のせいなのか
俺は昨日のイエニとヒョンジニの暴露のせいでこういうちっちゃなことも気になるようになってしまった。
こ、ここ、これは完全に惚れているやつ!!
スンミニはヒョンジニにじゃなくて俺に妬いたんだ!
他のやつが淹れたコーヒーなんて飲むなよってやつ…?
なんてまたありもしない妄想に浸る。
HAN's Delulu……
ぽけーっと完全に妄想世界に入り込んでいた俺は、その妄想していた人がとんでもなく大きな声で俺の名前を呼ぶもんだから驚いた。
そう、それはそれは驚いて…
俺は、手に持っていたもう冷めたコーヒーの入ったカップをひっくり返して服にぶちまけてしまった。
だって、君たちが妄想のネタを提供してくるから。
とは言えず
お気に入りの使い古した部屋着のTシャツを脱ぐ。
タオルタオル、と、Tシャツはとりあえず放っておいてしっとり湿った腹部を拭くためのタオルを取りに行く。
正確には、取りに行こうとした。
俺はチャニヒョンを彷彿とさせるような姿でタオルを求めていた右手を宙で迷わせる。
するとヒョンジニが手を伸ばしてきた。
なんて最近サボっていた運動のことを思い出しながらちらりと腹を見る。
すると、ヒョンジニの伸びた手がゆるりと下腹部を撫でた。
しまった、しまったしまったしまった
やらかしたやらかした
変な声出た!!!!!!!
最悪だ
ヒョンジニが変なふうに俺の腹なんか触るから!!
昨日のことがフラッシュバックして…って
妄想で忘れかけてたのに……
俺はこの場を切り抜ける方法を考えて、なんでもないフリをしようと思ったけど
咄嗟に口を押さえてしまった手のせいでそれは叶わなかった。
俺がどうしようと頭をフル回転させている時に、スンミニが口を開いた。
普段と変わらないスンミニの様子に、気にされてないとわかって安心した。
シャワーを浴びないと、とタオルを手に取り、シャワールームに向かう。
そして、スンミニが…
ついてくる、?
何か俺に用でもあるのか、振り返ってスンミニに話しかけると
スンミニは、なんでもないような顔をして言った。
どういう意味?
俺の脳はもうこんがらがって正常に機能しなくなってきた。
その場で固まっていると、ヒョンジニがやってきた。
このとき、俺は
スンミニの語尾にハートがついてる!
きっとヒョンジニのことが好きだからだ!
なんて現実逃避なことをうっすら考えていた。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。