第5話

🥀第2話「王子様じゃない、ただの俺に」
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2025/07/13 11:59 更新
──シオン視点

 人は、見た目で判断される。
 “整った顔”と“財閥の家の息子”という肩書きだけで、周囲は勝手に憧れて、勝手に怖がって、勝手に離れていく。

 ──どうせ、おまえは俺たちとは違う。

 何度そう言われてきたか分からない。
シオン🌷
シオン🌷
別に……誰かに好かれたいなんて思ってねーし
誰もいない放課後の屋上で、シオンはフェンスにもたれて煙草に火を点ける。
 もちろん、火を点けるだけで吸いはしない。ただ、煙の香りだけがこの空っぽな毎日を誤魔化してくれるから。

 思い出すのは、あの後輩──ユウシ。

 髪はやわらかそうで、声はどこまでも透き通っていて。
 感情をすぐ顔に出すタイプなのに、必死でそれを隠していた。

 「好きな人を信じたいだけ」なんて、聞いててイラついた。
 でも──少しだけ、羨ましかった。

 俺には、そんなふうに想える人なんて……いなかったから。

 一週間前、リクに会った。

 あいつは相変わらずだった。女の子を2人連れて、店の個室にのうのうと現れて。
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
やっほー、シオン。元気だった?
シオン🌷
シオン🌷
おまえ、マジでクズだな
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
はは、俺を“クズ”って言うの、おまえぐらいだよ
シオン🌷
シオン🌷
当然だろ。
シオン🌷
シオン🌷
アイツのこと、まだ引きずってんだな──ユウシってやつ
その名前を出した瞬間、リクの笑みがほんの少しだけ、歪んだ。
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
あいつさ、俺が他の子と歩いてるの、何回も見てんのに……何も言わないんだぜ?
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
すごくね?
シオン🌷
シオン🌷
……最低だな、おまえ
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
でも可愛いんだよ。
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
ほんと、守ってあげたいって思わせる顔するんだよ、あいつ
シオンはその瞬間、グラスを置いて立ち上がった。
シオン🌷
シオン🌷
おまえが守るんじゃねぇ。
シオン🌷
シオン🌷
──だったら、俺がもらってやるよ
リクは、驚いた顔をして笑った。
リク🐈‍⬛
リク🐈‍⬛
へぇ? 本気で言ってる?
シオン🌷
シオン🌷
……俺のほうが、ちゃんと愛せる
シオンはそう言い残して、その店を出た。

 本気なんかじゃなかった。
 ただムカついただけだった。リクの「おもちゃみたいな愛し方」が。

 でも──ユウシに会って、初めて分かった。

(……やべ、なんか……気になる)

 目をそらされると、追いかけたくなった。
 言葉に棘を出されると、もっと奥を知りたくなった。

 あいつは、リクに囚われてる。
 でも、その“檻”を壊してやりたいと思ってしまった自分がいた。

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