前の話
一覧へ
次の話

第1話

気掛かり
235
2024/04/30 06:53
ここ最近、気掛かりな生徒が
その生徒とは3ヶ月ほど前に転校して来た十条あなた

十条は富良洲高校では俺の生徒であり錬金術師としては階級が一つ下の後輩だ
十条の様子が気にかかるようになったのは
鶴原が意識を操られドレッドになった時からだ
十条は、鶴原と同じで話すのが苦手で
俺ですら十条の生の声はあまり聞いたことがない。
だがよく鶴原と十条はアイザックを使って2人で
コミュニケーションをとっていた
が、あの日から楓は勉強も上の空で成績は落ち
鶴原が戻って来てからは、顔を合わす事を避けるような態度やアカデミーに来ない日も続いていた
ミナト
十条、ちょっといいか?
とある日の昼休み、時間を見計らい教室へ行き
十条に声をかけた
だが、ぼーっとしているのか無反応
そこで一ノ瀬に声をかけてもらった
宝太郎
十条、ミナト先生がよんでる
一ノ瀬の声かけに我に戻ったかの、ハッと反応した
そしてこちらへと急足で向かってくる
ミナト
大丈夫か?
(なまえ)
あなた
、え、あ、はい
歯切れの悪い返事だった
ミナト
今日、早めにアカデミーに来て欲しいんだが良いか?
(なまえ)
あなた
わかりました
そう言って十条は教室内へと戻っていった
放課後、いつもより早めにアカデミーへと向かう
いつものように壁へ向かう上がる
ミナト
下にあるものは上にあるもののごとく 上にあるものは下にあるもののごとく ただ一つたる、奇跡をなさん
アカデミーの中へ入ると指輪を付け替え服装を変える
そして教室の扉を少し行った先で待っていると十条がやって来た
ミナト
来たか
(なまえ)
あなた
、何かあったんですか?、
ミナト
最近大丈夫か?
(なまえ)
あなた
ぇ、、ぁっ、、
十条は動揺を隠すかのように俯いた
俺は肩に手を置こうと伸ばしたが
そのタイミングで鶴原と銀杏が
蓮華
先生とミニサビーちゃんや
アイザック
十条
そしてそれに続く形で一ノ瀬と九堂、黒銅スパナまで来てしまった
アイザック
先生、まさか泣かせたのか
ミナト
えっ、?
アイザックの言葉で十条に目線を移すと
涙が落ちた手が見えた
ミナト
十条、すまない。何か言ってしまったか?
蓮華
ミニサビーちゃんなにがあったんや?
錆丸
、、あなた、
鶴原が一歩、近づいた時
十条はその場にいた全員を押し除けるように間を通り
アカデミーを飛び出した
錆丸
ぼ、僕が泣かせた、、
蓮華
サビーそれは違うで
錆丸
でも、、
蓮華
きっとなんか理由があるんやろ
錆丸
ミナト先生、、
ミナト
鶴原達は教室に。十条を探してくる。あとは黒鋼に任せる
俺は指示を出しアカデミーを後にする
周辺を探してみたが姿は見当たらず



ミナト
十条
あれから1時間近く探し
十条の姿はあの場所が見える河川敷にあった
膝を抱え込むように座っていた
呼びかけてもやはり反応がない
ミナト
十条
声のトーンを変え再度呼びかけてみると
意識が我に戻ったかのような感じで
こちらを振り返る
(なまえ)
あなた
、、ミナト先生、、
十条が身構えないようにと指輪を付け替え
高校教師の服へと戻る
それを見た十条も錬金術師から高校の制服へと変わる
そして慌てて立ち上がった
ミナト
立たなくていい。隣、座っていいか?
(なまえ)
あなた
ぁ、、はい、、
十条が再び腰を下ろしたのを見て
その横に俺も腰を下ろす
ミナト
最近、何かあったか?
その質問に俯き手を握り込んでいた
ミナト
鶴原か
(なまえ)
あなた
、、はい
ミナト
ゆっくりでいい。話してくれるか?
しばらく間が空いてから十条は話し始めた
(なまえ)
あなた
、あの日のこと、、今でも夢に出てきて
それが怖くて最近あんまり寝られてなくて
また、あの日と、同じことがいつか起こりそうで
それに、、あの場で動けたはずなのに、、何もできなかった、、、仲間に辛い思いをさせただけ、、私のせいで、サビが、、
気づけば十条の目からは涙が溢れていた
(なまえ)
あなた
私なんか、、超A級錬金術師なんかじゃ、、ない!
自身を否定するような言葉を放ち
指輪をはめている方の手ををベンチへと打ちつけた
俺はその手を掴み
座る十条と目線を合わせるために正面にしゃがむ
ミナト
十条、俺の目を見ろ
きっとこの短い期間で十条は

"あの時、自分が動いていたら止められたかもしれない"
"鶴原を辛い目にあわせてしまった"
"何もできなかった自分に対しての苛立ち"
"鶴原への申し訳なさ"

そんな思いを溜め込み自分1人で処理をしようとしていたのだろう
担任として先輩として気づけなかった
自分が不甲斐ない
そしてその溜め込んだ反動が大きかったのか
視線を合わせるのもやっとの思いだった
目を合わせ乱れた呼吸を整わせるために空いている
方の手で背中を摩る
ミナト
大丈夫だ。鶴原ももう大丈夫だ
(なまえ)
あなた
私、、
ミナト
いいか?十条は立派な錬金術師だ。スパナと同じ超A級錬金術師。あの時、俺も怖かった。
生徒を失うのではないかとな。恐怖心には立場は関係ない。どれだけ上だろうが、怖い時は怖い



その後、十条が落ち着いたのを見計らって
家まで送り届け、アカデミーへと戻った
そして指輪を付け替え服を変え教室へと入る

プリ小説オーディオドラマ