第35話

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2025/10/17 09:00 更新

訓練場の空気は、鉄と汗の匂いが混ざってる

朝からの稽古で、あちこちから打ち合う音と息遣いが聞こえてきた
あなた
……刀也、厳しくやってるね

俺が呟くと、隣にいたハヤトが静かに笑う

白シャツの袖をまくりながら、手に持った端末を見つめていた
kgm
まぁ、ガクさんの相手ですからね。あの子は素直ですし、覚えも早い
kgm
ただ、剣持さんも教えるときはつい熱が入るんでしょう
あなた
なるほどね。……ああ見えて面倒見いいからね、刀也

刀也が正眼に構え、正面のガクが必死にそれを受けている

金属の打ち合う音が鳴るたびに、訓練場の空気がピンと張る
knmc
ほら、下がるな!一歩でも退いたら間合いを取られるだけです!
fsm
っ、はい!

刀也の声に、ガクが反射的に応じて踏み込む
足の運びはまだぎこちない。けど、あの真っすぐな目つき──

焦げ茶の瞳が、一切迷ってなかった
あなた
……ハヤト、あの目。完全に“戦う覚悟”できてるね
kgm
ですね
kgm
まだ身体が追いついていないだけで、心の方はもうルフュージュの一員ですよ

ハヤトは穏やかに笑っていた

けど、その眼の奥は鋭い。彼もまた、ガクの内側を正確に見抜いてる
あなた
………

俺は少しだけ息を吐いた

あの日、教会の廃墟で見つけた時の、怯えた目はもうない


“誰?”と震えていた声が、今は“はい!”と強く響く声になってる

あれからほんの数週間で、だ
ルフュージュの中に馴染むのが早すぎるくらいだな


──それだけ、必死なんだろう

fsm
……っ、はぁっ……!

打ち合いが一瞬止まる
ガクが息を荒げ、肩で呼吸している

刀也が構えを解かずに言った
knmc
集中を切らすな。呼吸を整えて、もう一度
fsm
………はいっ!

返事のあと、ガクは額の汗を拭う間もなく前に踏み込む

その一瞬、俺の胸の中に小さく“やるじゃん”という感情が浮かんだ

ハヤトも頷きながら記録端末に何かを書き込んでる
kgm
いい動きですよ。剣筋が安定してきました
kgm
……ただ、まだ無駄な力が多いですね
あなた
焦ってる証拠、だね
 
あなた
けど、刀也相手によく頑張ってるよ。刀也の打ち込みは俺で痛いからね
kgm
ですね。新人のうちは一度は泣かされるって噂ですし
 
fsm
泣いてないっす!

場の向こうからガクの声が飛んだ

俺たちの話が聞こえていたらしい。結構距離はあるのに…なぜ気づいた?

それに気づいた刀也がすかさずツッコミを入れる
knmc
誰が喋っていいって言いました!?集中!!
fsm
は、はいっ!!

その返事の速さに、俺もハヤトも思わず笑ってしまった

刀也が呆れ顔で髪をかき上げる
knmc
まったく……すぐ気が散るんですから

でも、その声にはちゃんと“優しさ”が混じってた
knmc
……ま、いいです。少し休憩にしますか

そう言って訓練を一旦止める

剣持が腰の刀を鞘に納め、ガクがその場にへたり込みそうになりながら、必死に立ってた

手にはまだ震えが残ってる

あなた
……いい動きしてた

俺が言うと、ガクがぱっと顔を上げた

そして──
fsm
っ、ボス!

手を大きく振って、笑顔を向けてくる

その笑顔があまりに無邪気で、思わず口元が緩む
knmc
おいっ!ボスに媚び売ってんじゃねー!!

刀也が慌てて叫ぶ

けど、その声にもどこか焦りより呆れが混ざってた
完全に“弟を叱る兄貴”って感じだ

fsm
す、すみませんっ……でもボスが見てくれてたから、つい……!
knmc
つい、じゃない!訓練中は訓練に集中!

刀也に小突かれて頭を下げるガク
でも、ちょっとだけ嬉しそうに笑ってる

──こいつ、ほんと素直だな

ハヤトがくすっと笑った
kgm
ふふ、いい光景ですね。剣持さんの指導、効いてますよ
あなた
…そうだね

俺は静かに頷く

ルフュージュに来てから、まだ日が浅いのに
もう、あの場所に“自分の居場所”を見つけたみたいな顔してる
kgm
ボス
kgm
調査の結果ですが──“伏見ガク”。前歴はきれいですね
kgm
身寄りなし、元々は地方の孤児院出身のようです
あなた
……孤児院、ね

教会の件が頭をよぎる

同じ“保護”を掲げて、人を利用してた場所
そこから救い出せた命が、今こうして笑ってる

それだけで十分、報われた気がした
あなた
……ハヤト、あの子はきっと強くなる
kgm
ええ、間違いないです


knmc
休憩終了。今度は連撃の感覚を覚えますか

ガクが刀也に再び呼ばれて立ち上がる
fsm
はいっ!!


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