いつも悩み事を言わない丈くん。
珍しく言ったと思えば、「俺らしくないな」なんて言って笑って誤魔化す。
丈くんらしさ。なんて求めてないの。
彼女として頼って欲しいし、もっと弱いところも見せて欲しい...
私ばっかり弱いところ見せて丈くんの前で泣いて。
そんなのずるいよ。不平等だよ。
今日も私が来る前の寝室で、丈くんが苦しそうに声を押し殺して泣いてる。
彼のプライドを傷つけないようにわざと少し大きい足音で寝室に近づくと、慌てて布団を被って寝たフリをする丈くん。
一緒のベッドに入って、背中を向けて寝転がる。
言いたい。いつも言えない。丈くんって呼びたい、、呼べない...
私が今丈くんを呼んだら、丈くんはどう思う?
頼ってくれる?泣いてくれる?少しでも、楽になってくれる...?
でも、、弱いところ、見せたくないのかな。
それが私のためなら、、プライド邪魔しちゃダメだよね...
いつもそう思って声をかけられない。
でも、今日は、、今日はいいかな、丈くん、
「丈くん」
『っ、、...』
「起きてるの、分かるよ、...泣いてるのも、、分かる」
だって、泣いてるの隠せてないよ。
そんなに苦しそうに泣いて 、
声抑えても溢れちゃうぐらい泣いて
気付かないふりなんてもう出来ないよ
「丈くん」
『あなたっっ、』
真っ暗な部屋のベッドの上で、泣きながら私を求めて、泣きながら私を抱きしめて、泣きながら私の名前を呼ぶ、藤原丈一郎が、いる。
「何があったか分からないけど、泣いていいよ」
『あなた、、あなたっ、』
「うん、ここにいるよ」
『消えないで...居なくならないで...』
「っ、丈くん」
『そばにいて......』
あぁ、そっか、
みんな、丈くんの周りからいなくなって
みんな、新しい夢や希望を見つけて
1人で、寂しかったんだ...
「いるよ。絶対離れないよ」
『あなたっ』
「丈くんは、みんなと一緒じゃなくて良い。」
『...え、?』
「ジャニーズっていう道を選んで、貫き通してる丈くんだから、好きになったんだよ」
「みんなは新しい夢を、とか、考えなくていい。」
「夢を貫き通す。それだけでかっこいい。」
その後も丈くんはしばらく泣いてた。
途中で電気をつけると、それは嫌だったのか私の胸に顔をうずめて泣き顔を見せてくれなかった。
『絶対いやや。』
泣いて泣いて、泣き疲れて寝た。
あー、こんなに甘えてくれるなら、
こんなに頼ってくれるなら、
丈くんがこんなに深く傷つく前に、ちゃんと声かければよかった。
泣かせてあげればよかった。
綺麗な寝顔と、まだ頬に残る少しの涙を見てそう感じる。
涙をぬぐって、布団をかけて
私も寝よう。
「ずっと一緒にいようね。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※リクエスト作品じゃありません
※ジャニーズJrを続けなかった人のことを否定している訳ではありません。
新しい夢を見つけた方も、すごく悩んで考えて、自分で結果出して、素敵だなって思います。
※リクエスト作品のあらすじ(?)内容が全くもって思い浮かばないです
しばらく書けてなくてごめんなさい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!