私はあげるのを躊躇してしまった
あげたらなにか言われるのではないか
それが不安で仕方なかった
すると…………
炭治郎は私の予想を超えて、とても綺麗な表現を使って褒めてくれた
今までもらったどんな“綺麗”よりもずっと嬉しかった
優しく微笑む炭治郎は今何を考えているのだろうか
全くと言っていいほど匂いがしない
不思議だ
頬に貼られた白い湿布
目がスースーするのだが…………
でもそんなことはどうでもよくて、ただただ炭治郎の言葉で胸がいっぱいだった
恋雪達もそんなこと言ってたな…………
ギュッ
素直で、純粋な匂い
本当にこの人は心から優しい人なのだ
炭治郎side
ありがとうと言った透華の笑顔は
控えめではあるが、いつもの悲しそうな笑顔ではなかった
優しそうなその笑顔に俺の頭は真っ白になった
あぁ、俺は透華のことが好きなのかもしれない
炭治郎side END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!