途中まで走っていたが、
段々とうっしーが着いてこられなくなったので
歩いて神社まで向かうことになった。
後200メートル程だろうか。
息を整えながら歩く、隣の男の目を見ることができない。
俺のしたことは、間違っていない。
理論的には、悪人から一般人を遠ざけただけなのだから。
でも、なんだろう、何か、
何かが引っかかって、すっきりしない。
それが分かれば楽だろうに。
なんとも言われなくなって、目を伏せる。
....俺、どこまで心冷たいんやろなぁ。
ため息をひとつ。
それは白くなって掻き消される。
日が短くなった外は、もう思っていたより寒かった。
点々と置かれた街灯が明るく道を照らしている。
そのせいか、街灯が当たっていない所は
黒の絵の具のようにドロドロと暗い。
俺、あの怨霊のこと、全く知らないや。
なんでうっしーと一緒にいるのか、
そんなにこの世に残りたかった理由は?
過去、事情、何故そんなにも強いのか。
何故人を沢山殺してきたのか。
っ、いやいや、考えてもしょうがない、
キヨくんと一緒に実行しちゃったんやから。
もう後戻りできなっ____
思考が現実に戻ってくる___。と同時に、
俺は1メートルそこらだが飛ばされる。
隣の男が俺に向かって体当たりを食らわせたのだ。
いくら訓練を積んだ除霊師と言っても、
予想だにしていない成人男性の攻撃は流石に効く。
反射で地面に向かって受身をとる。
アスファルトの上は流石に痛いが、
こんなもの慣れたものだ。
その一瞬、俺の思考に宿ったのは
"敵襲"その2文字だった。
下らない考え事に耽って、
周りが見えなくなっていた。
それを、牛沢に助けてもらったのだ。
は、待って、うっしーは、うっしーは大丈夫だろうか。
その男の方を見やると、
男は静かに直立していた。
俺はキヨくん程の霊視は出来ないが、
それでも他よりも秀でている。
何かアクセサリー系の楔を使わない限り、
急激にオーラが増えることは無い。
と、言うことはだ。
霊は割となんでもできることが多い。
壁のすり抜け、透明化。
最初は当たり判定すらない。
だが、人を取り込むところでそれらが出来なくなっていく。
でも、大抵の霊が出来るのが"憑依"。
これが1番対処がめんどくさいのだ。
絶対に札が必要になるのと同時に、
札を対象に貼り付けて
そこに攻撃をしなければならないという圧倒的鬼畜ゲー。
もし札に外したら?
取り憑かれてる霊媒....
うっしー本体がその攻撃のダメージを負う。
1番避けたかった事象。
こちらに向けて銃を迷いなく発砲してくる。
軽く首を曲げて1弾目を避けると、
槍でそれ以外の5弾を一気に威力を殺す。
若干だがホーミングが付いているため
避けるのはそう簡単では無いが、
ここくらい何とかしないと。
今俺がしなければいけないこと、
1つ目は霊の無力化。
2つ目はキヨたちをこちらに呼ぶこと。
3つ目は武器となる楔をこちらに回収すること。
クッソ、全部全部俺のせいだ。
....いやいや、そんなこと言ってる場合じゃない。
だからこうなっちゃったんだから。
憑依されたと言うだけで、
多分こちらが押されることは無い。
ホーミング付き無限銃弾拳銃。
いつの間にか強化されていたが、それも着弾すればの話だ。
このくらいなら他愛もない。
俺が何とかするんだ。
札を取り出し、周囲にばら撒く。
ばらまいた全ての札から槍が飛び出す。
この槍の光を放つ性質を使い、
簡易的な閃光弾に応用する。
その間にスマホを取り出し、
キヨに電話をした。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。