第37話

写絵・捌
78
2025/11/03 12:25 更新
途中まで走っていたが、
段々とうっしーが着いてこられなくなったので
歩いて神社まで向かうことになった。
後200メートル程だろうか。

息を整えながら歩く、隣の男の目を見ることができない。

俺のしたことは、間違っていない。
理論的には、悪人から一般人を遠ざけただけなのだから。

でも、なんだろう、何か、
何かが引っかかって、すっきりしない。
それが分かれば楽だろうに。
なんとも言われなくなって、目を伏せる。



....俺、どこまで心冷たいんやろなぁ。



ため息をひとつ。
それは白くなって掻き消される。

日が短くなった外は、もう思っていたより寒かった。
点々と置かれた街灯が明るく道を照らしている。
そのせいか、街灯が当たっていない所は
黒の絵の具のようにドロドロと暗い。
俺、あの怨霊のこと、全く知らないや。
なんでうっしーと一緒にいるのか、
そんなにこの世に残りたかった理由は?
過去、事情、何故そんなにも強いのか。
何故人を沢山殺してきたのか。
っ、いやいや、考えてもしょうがない、
キヨくんと一緒に実行しちゃったんやから。
もう後戻りできなっ____
🐮
レトさん!!!
思考が現実に戻ってくる___。と同時に、
俺は1メートルそこらだが飛ばされる。

隣の男が俺に向かって体当たりを食らわせたのだ。
いくら訓練を積んだ除霊師と言っても、
予想だにしていない成人男性の攻撃は流石に効く。

反射で地面に向かって受身をとる。
アスファルトの上は流石に痛いが、
こんなもの慣れたものだ。
🦀
な!!何して...
🦀
ん...。
その一瞬、俺の思考に宿ったのは
"敵襲"その2文字だった。
下らない考え事に耽って、
周りが見えなくなっていた。

それを、牛沢に助けてもらったのだ。

は、待って、うっしーは、うっしーは大丈夫だろうか。
🦀
うっしー!!ごめん!!
大丈夫!?
その男の方を見やると、
男は静かに直立していた。
🦀
...大丈夫や..なさそうやな。
俺はキヨくん程の霊視は出来ないが、
それでも他よりも秀でている。
🦀
一般人に出る霊圧やないのよ。
早くそっから出て貰えんかな。
何かアクセサリー系の楔を使わない限り、
急激にオーラが増えることは無い。

と、言うことはだ。

霊は割となんでもできることが多い。
壁のすり抜け、透明化。
最初は当たり判定すらない。
だが、人を取り込むところでそれらが出来なくなっていく。

でも、大抵の霊が出来るのが"憑依"。
これが1番対処がめんどくさいのだ。

絶対に札が必要になるのと同時に、
札を対象に貼り付けて
そこに攻撃をしなければならないという圧倒的鬼畜ゲー。

もし札に外したら?

取り憑かれてる霊媒....
うっしー本体がその攻撃のダメージを負う。

1番避けたかった事象。
🦀
でも、相手が俺でよかったなぁ。
こちらに向けて銃を迷いなく発砲してくる。
軽く首を曲げて1弾目を避けると、
槍でそれ以外の5弾を一気に威力を殺す。

若干だがホーミングが付いているため
避けるのはそう簡単では無いが、
ここくらい何とかしないと。
🦀
キヨくんやったら札1枚も持っとらんで?
今俺がしなければいけないこと、
1つ目は霊の無力化。
2つ目はキヨたちをこちらに呼ぶこと。
3つ目は武器となる楔をこちらに回収すること。

クッソ、全部全部俺のせいだ。
....いやいや、そんなこと言ってる場合じゃない。
だからこうなっちゃったんだから。
憑依されたと言うだけで、
多分こちらが押されることは無い。
ホーミング付き無限銃弾拳銃。
いつの間にか強化されていたが、それも着弾すればの話だ。
このくらいなら他愛もない。


俺が何とかするんだ。


札を取り出し、周囲にばら撒く。
ばらまいた全ての札から槍が飛び出す。
この槍の光を放つ性質を使い、
簡易的な閃光弾に応用する。

その間にスマホを取り出し、
キヨに電話をした。
🦀
キヨくん、今どこ!?

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