__数日後 家
学校なんてどうでもよかったはずなのに、学校に行くのを、ころんに会うのを楽しみにしてる自分がいる
頭がこんがらがりそうな悩みは、解決する兆しが全く見えない
𓂃𓈒𓏸𓍯
眠さがそろそろピークを迎えそうな頃、無機質な鉄の板から着信音が流れ出す
画面上に表示された ころん の文字
正直眠かったけれど、電話に出ることにした
そんなことは無いけど、でもこれって
まるで付き合ってるみたいな…
でもなんでさとみでも生徒会仲間でもなく私に電話をかけてきたのだろう
そう言うころんの声が何故かとても甘くて、逃げるように返事をした
やっぱ、少し眠いかもしれない。
最近睡眠不足が続いている
そう言ってくれるころんの気持ちは嬉しい
でも、まだ、あと少し。
そう粘ってしまう
𓂃𓈒𓏸𓍯
目覚めると、ころんから おやすみ とよく分からないゆるキャラのスタンプが送られてきていた
結局寝ちゃったのか
𓂃𓈒𓏸𓍯
と、誰もいない教室に声を落とす。
みんなが来る前にこの教室を独り占めできることが好き
この広い教室から1人で外を見ることが好き
グラウンドで走り回るサッカー部の生徒を見ることが好き
教室って、何となく落ち着く
春にはふわりと舞う校庭沿いの桜と、雨の日の桜流しが少し寂しげで
夏には暑い中汗を流しながら部活の練習する部活生の姿が眩しく、少し羨ましくて
秋には学校から少し離れた黄色く色付いたイチョウの木の葉が舞う様子が綺麗で
冬には雪が積もったグラウンドと、反射する明るい太陽の光が輝く。
今までの軌跡が全て残っているのだ
古臭くて嫌だってみんな言うけど、そんなことないと思う
たしかに古いし汚いけれど、それも含めてこの学校で、普段の風景の1部。
それも含めて、全部大切な思い出が詰まった場所
大切なものって、案外なくなってからわかるものなのだと思う
なんて話しながらも、さっきのころんの表情が頭から離れなかった
儚げで、悲しげ。
羨ましいって言葉、心の底から言ってるような気がした
ねぇ、ころん。
貴方は何を想って、その言葉を発したの?
自分で書いたのに痛々しくて見てられない🥲
こうやって黒歴史って作られていくんですね…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。