ーDays2ー
あれからなんだかんだ時が過ぎ、ついに約束の土曜日の前日となった。
LINE後、妙に情緒不安定な咲奈といつも通りの日々を過ごしていた
もうちょっと初々しくてもいいはずなのに……
私のあの緊張はなんだったのよ。
でも、今の私はそんなことどうでもいいの!
私には迷っていることがある
着ていく服の事だ。
すっごく大事なのよ。いつも咲奈と遊びに行く時はすごく迷うけれど結局は1時間程度で決まるの。(十分長い)
でも、もう2時間経ってるの!
私はあの人の存在を思い出し自分の部屋から出る
帰ってきているのか分からないがとりあえず行ってみる
廊下を少し歩くと突き当たりの部屋で足を止める。
控えめにノックをし、相手に呼びかける。
いるかな?と思うのと同時にゆっくりとドアが開いた。
サアッと血の気が引いた
お義母さん!!
怒って……る
さすがの私も命の危機を感じた。主に足に。(貞操じゃないんだぁスンッ( ˙꒳˙ ))
この人は怒り出すと説教が止まらない。
しかも正座をさせるのだ
最長正座時間は3時間
あの後は立てなくて、追加で1時間消耗した。
心配して怒ってくれているのはよく分かる。
多分咲奈との後、気絶したことに関してだろう。
分かるんだけど……いつも怒り方が重いのよ!
何!?これが咲奈の言ってた「やんでれ」ってやつなの!?
あの怒り方は……もう嫌だ。
トラウマになる。トラウマが増えてしまう……
何とかしないと……!
こうなったら……苦策だけどやるしかない!
えっ、死んだ?
まるで遺言のように言葉を残す兄。
我が兄ながら、ちょっと……引いてしまう。
その想いが通じたのか、兄は飛び起きてまだ興奮収まらぬ白い肌をリンゴ色で染めながら頬を手の甲で隠して言った
その言い訳、信じてくれてたのか……ありがたい。
被せるようにはっきりと言い放つ。
ショボンと犬のように落ち込む姿に罪悪感が生まれる。
今回は全部私が悪かったしなぁ。こんなこと言う権利なんて無いか。
次の言葉を言わせないため、言葉を被せる。
慣れっこなのよ、この技。
「それよりって……」と言いながらブツブツ言う兄は思い出したとでも言うように話し始めた。
そう、生き生きと話す兄が1番大好きだ。
大好きなものを大好きと言い、否定は受け付けない。
1度好きなものについて語り出すと止まらない。
そんな姿がたまらなくかっこいいんだ。
兄は海外に旅行をするのが大好きだ。今回は大学の長期休みが諸事情で早めになったからそれを利用してアルバイトの給料でイタリアに旅行に行っていた。その旅立った日が私が気絶した日だった。
そんな事を考えていると兄は顔を曇らせた。
あなたは頭がキレるから何ヶ国語もペラペラですけどこちとら英語で精一杯ですぅー!日本語でも怪しいのに……
あっ!そういえば目的忘れてた……
妹からの天然発言に戸惑いと照れが隠せず口調がおかしくなる兄、22歳。
あまりに話が進まなすぎて遂にヤケクソになってキレちゃった凪ちゃん、17歳。
その後、約1時間ぐらい凪ちゃんに口聞いて貰えない中、OKが出るまで凪の部屋で永遠と地獄の服選びをさせられていた兄、22歳。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。