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第1話

Prologue
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2024/07/14 06:48





宮侑は、興味があった。




宮ツインズ。


入学してからと約1年、彼らのうわさは後を経たない。


今日もまた1人、喧し豚が増えるのだ。
しかし、そんなことはどうでもいい。



視点が1人の女に映る。





俺が入学した時から(先輩に聞くと先輩達が入学した時かららしいが)、練習試合、公式戦は欠かさず来る。

それだけじゃなく練習も覗きに来る。





毎日くる。




俺らには黄色い歓声もあげず、プレーの邪魔もしない。


先輩達の代からということは俺らのにわかファンでもない。


ちなみに、現在アイツは2年生。
つまり、中学時代から稲荷崎高校バレー部に入り浸っているわけだ。



これだけ聞くと

"ただの稲荷崎高校バレー部が好きな人"

と思うかもしれない。



違う、アイツは間違いなく喧し豚だと確信を持って言える。




自分で明言しているからだ。






「アランくんナイッサー!!!!!♡♡♡」


「大好き!!ほんと好き!!!愛してる!!!!!」


「今日も宇宙一やで!!!アランくん!!!!!!!!!」


「輝いてる!!!もはや発光してる!!!!!!眩しいよアランくん!!!!!!」


「ナァイスキィーアラン!!!押せ押せアラン!!イケイケアラン!!(エンドレス)」


「立てば劇薬(私に)、座れば天使、歩く姿は神々しい!!!!!!!!!」


「いつも私みたいなゴミに関わってくれてありがとうアランくん😭😭😭」


「そんなアランくんがー?大好きー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「いつでもこき使ってね!アランくん!」


「微笑みかけられた……????????????????????????????????????」


「アランくん、アランくんが足りないわぁ」


「アランくんを信じろ」


「はぁ、好きだな、アランくん」


「いやこれは恋とかじゃない!!!!!信仰心!!!!!!!!!!」

「アランくん!!!!!!!!アランくん!!!!!!!!!!」




アイツが持つうちわには、何かの聖句かのように文字が刻まれる。




    『尾白アランの 喧し豚』




これは、アランくん強信者の女が、


超絶純愛ぴゅあぴゅあな初恋をする物語だ。







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