次の日の放課後。
ボール磨きをしていたら、日向くんが謝りに来てくれた。
『怖かったよね。ごめんね』って。
実はさっき、影山くんもそうやって言いに来てくれたんだよね。
2人は何も悪く無いのに。
うちが勝手に泣いただけなのに。
でも、あんな風にぶつかり合って本音を吐き出し合う2人の、共通して持っている『優しさ』を垣間見れて、ちょっと嬉しかった。
谷地「あっあの…日向」
見学をしていた仁花ちゃんが日向くんを呼び止める。
オドオドしている仁花ちゃんが可愛すぎて、うちはちょっと眺めることにした。
日向「ん?」
谷地「だ、大丈夫かな、と思って…影山くんと、あの、えっ、…」
仁花ちゃんはあの日の出来事に踏み込んでいいのか悪いのか考えすぎて、カチコチになっている。
すると、日向くんはふっと優しい笑みを向けて………
日向「大丈夫だよ」
それにつられて、仁花ちゃんも、弾けるような可愛い笑顔を彼に向けた。
あなた「んんっ…!!!」
月島「何悶絶してるの…」
あなた「仁花ちゃんが可愛すぎて……何あの笑顔。うちも向けられたい。あんな可愛い笑顔、うちも向けられたい」
月島「いっつも山口とかに可愛い可愛いって言ってるでしょ」
あなた「そうじゃなくてですね。あの、弾けるような感じの…って何言わせてるんですか。月島くんも笑ってみればどうなんですか?」
月島「僕はそういうの似合わないから」
あなた「ふーん…」
じーっと彼の顔を見つめてみる。
笑ったら絶対素敵なのになぁ…。
懸命に手を伸ばし、彼の頬をむにゅっと触った。
月島「な、に…んむ」
あなた「笑ったら絶対可愛いですよ。ほらほら」
いじり倒してやろうと思ったのだが、すんでのところで誰かに腕を掴まれてしまった。
菅原「部活中ですよ…(鬼スマイル」
あなた「あ…すみません…」
月島「失礼承知ですが、嫉妬ですか?」
菅原「嫉妬して悪いですかーっ!」
菅原先輩は、んべー、と可愛く舌を出して戻って行った。
あなた「…先輩に可愛いと叫んでもよろしいでしょうか」
月島「引かれてもいいなら」
次の日の小話
あなた「遅刻〜遅刻〜歩いていたら 食パン咥えた潔子さんとドーンっ」
この前田中先輩が1人で歌っていた曲を歌いながら、3年生の教室前の廊下を歩く。
友達が皆委員会で居なくて暇だったので、潔子さんに会いに行こうと思ったのだ。
あなた「3年生こわ…」
どの学校でも、一年生に最上級生は大きく見えるものだ。
何故か恐怖を感じてしまう。
……あれ?あれ!?
澤村先輩が女の子と話してる!
ショートカットの、身長高めの先輩。
確か女子バレー部の主将の…道宮結先輩。
ボーイッシュでたまに男らしい一面もあるけど可愛い、って、ちょっとだけ評判になっていた。
澤村先輩と話している彼女の耳は、微かに赤い。
好きだったりするのかなぁ…。
澤村先輩、そういうの疎そうだなぁ… ←人のこと言えない
あなた「頑張れよっ、先輩方…!」
「えーっと、そこの一年生…何してるの…?」
あなた「あっ、あ、すみませんでしたあああああああ!!!」
澤村「…今マネージャーの声がした気がする」
道宮「そう?気のせいじゃない?」
澤村「だといいんだが…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。