激しいノック音と頭に響くような大声と共に目が覚める。
まだ辺りは薄暗く、3時、4時といった所だろう。
寝ていたいのは山々だが、生憎こんな騒音の中寝ていられるほどの図太い神経は持ち合わせていない。
何よりドアがいつまで持つかどうか…。
仕方なくおぼつかない足取りで玄関へ向かう。
ドアノブに手をかけ、少し下に押した瞬間、突然勢い良く扉が開いた。
頭が回っておらずワンテンポ遅れて自分がバランスを崩し、コケかけていることに気づく。
やべっ、これ顔面から行くッ、!
反射的に目を閉じる。
………しかし中々地面にダイブする感覚が来ない。
ぱっと声が聞こえる方に目を向けると、りうらは先程ドアを自動化させた犯人の胸の中にいた。
傷みを感じなかったのはゾーンに入っていた訳でも時間が止まったわけでもなかったようだ。
離れようと身動ぎするがこのピンク頭は中々離してくれない。
受け止めてくれたことは有り難いが、なんとも言えない甘ったるい空気が落ち着かない。
こいつは話を聞いているのだろうか。
うんうんと言いつつ全く放す気配も無い。
しかもりうらの頭を撫で始めてすらいる。
…仕方がない、しばらくこのままで居るか…/
どうせならと、ふと思っていた質問を投げかける。
そうりうらが聞くと、先程から撫でていた手がピクリと止まった。
もし事前に言ってくれていればきちんと早起きをして出迎えたものを。
こんな寝巻きでないくんに会ってしまったのだから、それ相応の理由がないと許せない。
心なしかりうらを抱き締める腕に力が入ったような気がした。
そんな理由でこんな夜明けからりうらの家を尋ねてきたのかと少し呆れる。
そんな他愛のない会話を交わす。
朝から中々に贅沢なことをしてしまったものだ。
しかし、普段から多忙を極めている彼がこの後会えるというのに今も会いに来たのだと言う疑問も拭えない。
まぁ、こんな変人の思考回路を考えようとしてわかるはずもない。考えるのすら馬鹿馬鹿しい。
今を噛み締めて置こう。
しばらく会話ーーーー
気付いたときは遅く、つい気が緩んで本音を漏らしてしまう。
今度ははっきりと抱きしめられる力が強くなった。
りうらがこの村に来た頃からそう言い聞かされていた。
彼のポリシーなのだろうか。
この変人が…。
でも、彼に思いを寄せられた人は幸せだろうな。
一村人をたらし込むのはどうかと思うが。
突然左側から声が聞こえた。
声の主を横目でちらりと見てみると、
大荷物を抱えた青髪の青年だった。
りうらの抵抗は虚しく、このピンク頭は微動だにしない。
どうやら離す気は全く無いようだ。
弾んだ声で残酷な事を言い放つ。
大人気ない…。
誤解をしてたとしてもしてないにしろ変に広まっては困る。
変にいじられるのだけは御免だ。
…。
脳内までピンク頭の村長、いつまでも可愛い可愛い最年少だと思うなよ?
勢い良く彼の顎めがけて垂直にジャンプをする。
予想通りハグすることで少し前かがみになっている彼の顎にクリーンヒットした。
よろけてくれた事で用意に腕の中から脱出することができた。
少しうめき声が聞こえた気がするが気のせいだと思っておこう。
すぐにそんな返しが出てくるのが驚きだ。
吐息多めに自分の名前を呼ばれて鳥肌が立つ。
しかもまたハグしようとしてくる。
先程とは違いだいぶ目が覚めているため、容易に避けることができた。
何なんだこの人は。
これがうちの村長……。
仕事が嫌で逃げ出してきたのだろうか。
てっきり彼は仕事大好き人間だと思って居たので軽く拍子抜けした。
部下に首根っこ掴まれて連行されている権力者が叫ぶ。
近所迷惑極まりない…。
また少し心が暖かくなった気がした。
next➶➶➶25.??.?? ← +☆10…??












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。