次の日___
今日も8年C組の扉を開ける。
そして、スウィーツパイセンが突っ込んでくる……
って、えっ!?ちょっ、なっ!?
ドッカーン
残りの先輩軍は声を上げた。いきなり突進してきたスウィーツパイセンを躱すこともできずに、自分は壁に衝突した。
自分はパイセンに文句をぶつけた。しかし、パイセンは気にした様子もなく、目を輝かせて言った。
よくわからないけど、とにかくパイセンはなんか楽しそうだ。
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振り返って言う。
にっこり笑うスウィーツパイセンに向かって。
ものすごい笑顔。この上ない笑顔。かわいいけどさ。
絶対なんか吹き込まれたっスね、これ。
……別に、ラッキーだとかは全然思ってない。
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3人で納得の声を上げる。今は、ノキオが僕たちに向かって説明し終わったところだ。
つる公は、スウィーツに優しくしたことがない。なんていうか、恥ずかしいんだと思う。でも、スウィーツのことが好きだもんな……つる公は、結構な意地っ張りだから、つる公がどうなっちゃうか、よく分からない。僕たちに相談とか、したことないから。
心配だけど、つる公のことだ。きっと僕たちが手出ししなくても彼なら上手くやれる……だろう。
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スウィーツパイセンの付きまといから数日。何回もぶっ飛ばしたってのに、まだ付きまとう気っスか!?飽きないんスか……
そんなことを、当たり前のように言ってくる。なんでそんな真っ直ぐにそんなことを言えるんスか。
……言えるわけないじゃないっスか………自分が、つる公が、スウィーツのことが好き、だなんて。
いつも酷い態度を取っているのは、ちゃんと話すのが恥ずかしいからだ、なんて。
全部までは言えなくても、パイセンに不安にはなってほしくなくて、本心を少しだけ口にする。……今、バリダセぇこと言ってるっスね……
スウィーツパイセンは、それを聞いた途端、目に光が輝いた。笑顔になった。そして、自分にその笑顔を向けた。
ホントに眩しい笑顔だ。目を閉じてしまうくらいに……
やめてくださいっスよ、こんな自分なんかにこんな美しい笑顔………
……こんな笑顔ができる人のそばに、こんな笑顔を自分に向けられるような人のそばに、こんな汚れた自分はいていいんスか……?
くるっと向きを変えて、帰り道を歩き出そうとする。
パイセンの言葉もロクに聞かず、それだけ言うと、さっさと歩き出した。
しばらくして後ろを振り返ると、スウィーツパイセンは、こっちを見つめたままだった。
胸の辺りがもやっとした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!