その日は、普通だった。
朝もちゃんと起きたし、授業も受けたし、友達とも話した。
ちょっとだけだるい気はしたけど、気にするほどじゃなかった。
放課後。校門で手を振る。
そう言って、いつも通り一人で帰り始めた。
家までの道は、慣れてる。
歩きながら、
今日のことをなんとなく思い出してた。
テストのこととか、先生の話とか。
その途中で、少しだけ足が止まる。
なんか、変。
でも、すぐに歩き出す。
小さくつぶやく。
数歩、進む。
でも、さっきより はっきりおかしい。
お腹のあたりが、じわっと気持ち悪い。
急に来る。
さっきまで普通だったのに。
立ち止まる。
深呼吸。
そう言いながら、また歩く。
でも、
歩くたびに、気持ち悪さが強くなる。
視界も、少しだけ揺れる。
思わず声が出る。
段々と目が熱くなる。
周りには人もいる。
でも、なんか遠い。
近くの電柱に手をつく。
これ 帰れる?
頭の中で考える。
でも答えが出ない。
そのとき
スマホがポケットの中で重く感じた。
スマホを 取り出す。
少し迷う。
でも、画面を開く。
💬『ちょっと気持ち悪い』
送る。
数秒で既読。
すぐ返信がきた。
💬「今どこ?」
ちょっとだけ安心する。
辺りを見渡して、文字を打つ。
💬『いつもの駄菓子屋』
💬「迎え行く」
その文字を見た瞬間、
力が抜ける。
小さく言う。
そのまま、しゃがみ込む。
もう立ってるのがしんどい。
通り過ぎる人の足音。
車の音。
全部、ちょっと遠い。
でもさっきより怖くない。
それだけで、全然違う。
…
数分後。
聞き慣れた声。
顔を上げる。
オンニだ。
少しだけ息を切らしてる。
オンニが、近くに来てしゃがむ。
正直に言うと、オンニはゆっくり頷く。
手を軽く握る。
ジスが周りを少し見て、日陰の方に誘導する。
ゆっくり移動する。
支えられながら、数歩。
それだけで精一杯。
座ると、少し楽になる。
オンニが聞く。
それ以上、無理に聞かない。
ただ背中をさする。
その一言が、しっかり届く。
少し考えてから言う。
ちゃんと考えてくれてる。
それだけで、安心する。
しばらくして。
少しだけ、波が引く。
オンニが少しだけ笑う。
立ち上がる。
まだ少しふらつく。けど
さっきほどじゃない。
隣にオンニがいる。
それだけで、ちゃんと帰れそうな気がした。
リクエストありがとうございます!!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。