数日ぶりの部屋を出た
リビングの扉を開いた
そこには
大好きな彼が姿あった
夢かと思い目を擦った
ほっぺをつねった
でも確かに彼がいた
確かにソファーに座っていた
俺の行為に彼はくすっと笑った
ずっと見たかったあの笑顔だった
彼は笑いながら
「何言ってんのスマさんw僕だよ〜w」
と言った
脳が追いつかなかった
頭で理解するより先に体が動いた
ぶるーくの方へ行った
目の前にたった
今すぐにでも抱きしめたかった
が、怖かった
だって彼はもういないはずなのだ
「んー、半分僕かな?w」
そう言った彼は俺の方に手を伸ばした
ふわりと頬を撫でた
気がした__
彼の手は俺を貫通した
ぶるーくは申し訳なさそうの笑った
また涙が零れた
「すまさん、泣かないでよ〜」
涙を拭うように透けてしまう手が頬を触れた
俺はその手に自分の手を重ねた
もちろんそこはただの空気だったが
心做しか暖かかった
沢山言いたいことも聞きたいこともあるのに
感情が混ざって混ざって混ざって
ただ泣いていた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。