場所や予定を一切聞かされることなくたどり着いたのは、街のショッピングセンターだった
それはそれは大きかった
無言のまま店内に入ると、2階へ上がった
2階は入口の掲示板を見た限り、服などを売っているようだった
そんな疑問を抱えつつも、2階の中で1番大きな服屋さんにたどり着いた
私とて女の端くれ
たくさんの洋服を前にすると全ての服が輝いて見えた
私はとても混乱していた
まぁ、私は所謂貧乏というやつですからね..
施設を飛び出してからというもの、一人暮らしは流石にキツかったですね。少女時代は、親が残してくれたお金でどうにか生き長らえ、中学生の時は、学校側にどうにか許可を貰ってバイトを。
そんな私に服を買う余裕なんてなかった
さらに私は貧乏性ですから、服はボロボロになったら作り替えるのみです!あはは..
でも流石に、服のバリエーションが少なすぎましたかね..現にこうして勝己くんに見破られてしまいました
舌打ちをしながらも、勝己くんは服を選んでくれた
即決しそうな勝己くんだけど、この時は少し悩みながら選んでいた
それがどことなく嬉しかったのは、私の本心
勝己くんは服を手に取ると、またもや某ボロボロな傘を渡していそうな少年の如く「ん」と言って服を渡してくれた
その後も勝己くんは服を選んでは私に渡してくれた
おかげで私の腕にはフルコーデ分の服で溢れていた
なんと言うか、とても申し訳ない気持ちでいっぱいです
でも、親切心を無碍に計らうことなんてできません。これは素直に受け取るべき、だよね..!!
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さて、この長い沈黙、私はどのように対処すればよろしいでしょうかっ!
Let’s thinking!!
チクタクチクタクチクタクチクタク......
ポンッ!!
I don't know!!
そんなこんなで脳内で暴れていると、前方の交差点で物凄い音がした
交差点まで数100mの距離を走り、現場に駆けつけた
車と車が正面衝突し、車体が大きく大破していた
中の人は窓から逃げ出そうとしたのか、無残にも窓と車体に押し潰され気を失っていた
対向車の人は事故の衝撃で、車内で気を失う形となっていた
しかし、この事故はただの事故ではなく、敵の手によるものだとひと目で分かった
なぜなら、車の上に1人の..いや、一体の化け物が座っていたから
その敵の大きな手には、1人の市民が握られていた
もう、手遅れだった
でも、勝己くんの気持ちは分からないでもなかった
例え面識のない人達だとしても、一般市民を巻き込んだことは許せない
その敵はこちらを向き、鬼の様な形相でこちらを睨んだ
そして、消えろという言葉を発した
途端に感じた殺意
このまま突っ立っていれば本当にそうなってしまいそうな気迫だった
その時、敵は口を大きく開き、力を空気中に溜めていた
咄嗟に勝己くんと距離を取り、後方に下がった
その後私はすぐに電話でヒーローに応援要請をした
ヒーローが来るまで数10分
それまで私達がすべきことは、市民の安全の確保
決して戦わず、守り抜くことだけを意識する
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next☆
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。