第85話

【第81話】
1,009
2021/05/08 15:12
場所や予定を一切聞かされることなくたどり着いたのは、街のショッピングセンターだった

それはそれは大きかった


無言のまま店内に入ると、2階へ上がった
2階は入口の掲示板を見た限り、服などを売っているようだった
あなた

(なぜ..服なんでしょう)

そんな疑問を抱えつつも、2階の中で1番大きな服屋さんにたどり着いた
あなた

わぁお✨

私とて女の端くれ
たくさんの洋服を前にすると全ての服が輝いて見えた
爆豪勝己
爆豪勝己
好きなん選べや
あなた

ほぅ....ぇ、?

あなた

好きなん選べ、や、、え、?

私はとても混乱していた
あなた

あえっと、私、今日は誕生日でも何でもないよ..?

爆豪勝己
爆豪勝己
わかってるわ
あなた

え..もっと、なぜ、デスカ

爆豪勝己
爆豪勝己
お前、服の数少なすぎンだよ
爆豪勝己
爆豪勝己
出かける時、それかもう1つしか着てるの見たことねぇ
あなた

(ギクッ

まぁ、私は所謂貧乏というやつですからね..

施設を飛び出してからというもの、一人暮らしは流石にキツかったですね。少女時代は、親が残してくれたお金でどうにか生き長らえ、中学生の時は、学校側にどうにか許可を貰ってバイトを。


そんな私に服を買う余裕なんてなかった
さらに私は貧乏性ですから、服はボロボロになったら作り替えるのみです!あはは..


でも流石に、服のバリエーションが少なすぎましたかね..現にこうして勝己くんに見破られてしまいました
爆豪勝己
爆豪勝己
今日くらいは金とか気にすんな
あなた

あ、ありがと..

あなた

でも、好きな服かぁ..
ほんとに何でもいいの?

爆豪勝己
爆豪勝己
そうだっつってんだろ
あなた

なら、勝己くんが選んで下さい

爆豪勝己
爆豪勝己
あぁ?
あなた

や、やっぱr..((

爆豪勝己
爆豪勝己
チッ
舌打ちをしながらも、勝己くんは服を選んでくれた
即決しそうな勝己くんだけど、この時は少し悩みながら選んでいた
それがどことなく嬉しかったのは、私の本心



勝己くんは服を手に取ると、またもや某ボロボロな傘を渡していそうな少年の如く「ん」と言って服を渡してくれた


その後も勝己くんは服を選んでは私に渡してくれた

おかげで私の腕にはフルコーデ分の服で溢れていた
あなた

こんなにたくさん..ぇ、勝己くん、ほんとに大丈夫?

爆豪勝己
爆豪勝己
気にすんなっつったろ
あなた

言ってたけど..

なんと言うか、とても申し訳ない気持ちでいっぱいです

でも、親切心を無碍に計らうことなんてできません。これは素直に受け取るべき、だよね..!!












あなた

(結局フルコーデで買ってもらってしまった..)

あなた

ぁ、えと..本当にありがとう、勝己くん

爆豪勝己
爆豪勝己
あなた

........

爆豪勝己
爆豪勝己
........
さて、この長い沈黙、私はどのように対処すればよろしいでしょうかっ!



Let’s thinking!!




チクタクチクタクチクタクチクタク......





ポンッ!!






I don't know!!
そんなこんなで脳内で暴れていると、前方の交差点で物凄い音がした
あなた

交通事故かな..

あなた

...誰か怪我してたら大変だよ、行こ、勝己くん

爆豪勝己
爆豪勝己
あぁ
交差点まで数100mの距離を走り、現場に駆けつけた
あなた

交通事故は交通事故だけど、あれ...

爆豪勝己
爆豪勝己
敵の野郎の仕業か...
車と車が正面衝突し、車体が大きく大破していた

中の人は窓から逃げ出そうとしたのか、無残にも窓と車体に押し潰され気を失っていた

対向車の人は事故の衝撃で、車内で気を失う形となっていた



しかし、この事故はただの事故ではなく、敵の手によるものだとひと目で分かった
なぜなら、車の上に1人の..いや、一体の化け物が座っていたから

その敵の大きな手には、1人の市民が握られていた
もう、手遅れだった
あなた

ヒーローを呼ぼう

あなた

あと、周囲の人の安全も確保しなきゃ

爆豪勝己
爆豪勝己
あぁ?あんな雑魚、今すぐ捻り潰す
あなた

それはダメだよ、私たちは学生..一市民だから、例え相手が敵だとしても、個性を行使してしまったらヴィジランテと認識される

あなた

それは勝己くんも知ってるよね

爆豪勝己
爆豪勝己
チッ
でも、勝己くんの気持ちは分からないでもなかった
例え面識のない人達だとしても、一般市民を巻き込んだことは許せない
モブ
敵だぁぁっっ!!逃げろぉぉお!!!
モブ
きゃぁぁぁぁあっ!!
ったくうるっせぇなぁ...
てめぇら全員消えろ
その敵はこちらを向き、鬼の様な形相でこちらを睨んだ

そして、消えろという言葉を発した
途端に感じた殺意
このまま突っ立っていれば本当にそうなってしまいそうな気迫だった


その時、敵は口を大きく開き、力を空気中に溜めていた
爆豪勝己
爆豪勝己
あなた!!
あなた

うん!

咄嗟に勝己くんと距離を取り、後方に下がった





その後私はすぐに電話でヒーローに応援要請をした

ヒーローが来るまで数10分
それまで私達がすべきことは、市民の安全の確保
決して戦わず、守り抜くことだけを意識する





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