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第2話

🐰🦊1  rq 
1,262
2023/08/24 00:10
今日は撮影の日だ

朝早くから起きて、準備をしてそのまま現場へ直行

初めの頃は辛い、嫌だなんて思うこともあったが

俺たちを応援してくれている沢山のモアたちが居ると思うと、ふつふつとやる気が湧いてくる

けれど、1つ憂鬱なことがある

同じグループメンバーのスビンだ

俺とスビンは所謂、恋仲にある

そのスビンが毎度毎度、スビン以外と一緒にいると怒ってくる

これまで何度も何度も怒られてきたが、明らかに起こる原点が理不尽だ

そんなことも知らずに今日はかなり他のメンバーと密着する撮影

スビンと一緒ならなんてことなく済ませられるのだが、相手はボムギュ

それも察してか先程スビニから忠告が入った

神様は何故こうも俺の味方をしてくれないのだろうか

遠くからスタッフさんの俺を呼ぶ声が聞こえ、重い足取りでセットまで向かった


『へへ、ヨンジュニヒョン
 今回のポーズ知ってます?』

「知らないよ、余り近づかないほうが
 俺には都合がいいんだけど…」

『それがですね、ヒョン……なんとなんと!
 超密着するポーズなんです』

「いや、そんな嬉しそうにいわれても」

『スビニヒョンからお叱り確定ですね
 ドンマイ!』

「他人の不幸は蜜の味ですね。はいはい」

『まぁまぁ、いいでしょう。
 さっさと終わらせてさっさと帰りましょ』






撮影のポーズはボムギュが言った通りかなりの密着だった

俺たちのあとに撮影するスビンから心做しか負のオーラが漂っていた気がした

ああ、俺どうなってしまうんだろうか

とてつもなく、気になる

撮影中もヒョンのことしか頭になかった

撮影とは言えどもあんなに引っ付く必要はあるのか

撮影前後にボムギュと一緒にいるだけでもうアウトなのだけれど

どれだけ教えても全く変わらないから腹が立つときもある


【……さ……すび……すびんさ…すびんさん!】

「あ、はい。すみません」

【体調悪いのなら無理はしないでくださいね…】

『ヒョン、大丈夫ですか…』

「大丈夫、ありがとね」 



そうだ、今は撮影中だ

年下に心配されてどうする。一応リーダーなのだから

後で、後でヒョンをどうするか考えればいいだけだ

『よっしゃあ〜退勤〜!』

「……ぅるっさいな」

『あら、スビニヒョンに殺されそうだからって
 僕に当たらないでください〜』

「違う、根拠のないこと勝手に言うな」

『はいはい』

「はいは一回な」

『はい』


車内でそんな会話を交わす

まぁ、少しだけボムギュの言っていることが当てはまっている

怖いのだ。スビナに捨てられるのが

同じグループに所属しているのもあるが、気まずい関係にはなりたくない

理由はそれだけ。スビナに嫌われたくない

俺の我儘だ、と言われたらそこでおしまいだが

スビナがいっそ帰ってこなければいいのか?

いや、そんな都合良くはいかないように世の中はなっている

嫌だ。捨てられたくない。スビナに嫌われたくない

その言葉がずっと頭の中を駆け回っていた







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